本部・事務局から

最新の記事

アーカイブ

次回秋季(127回)大会のテーマ別分科会・自由論題の応募期間について

 

2013年04月25日

※ 下記のお知らせどおり、127回大会の報告募集が開始されましたので、会員の皆さんはふるってご応募ください → 募集のご案内はこちらをクリック


学会員各位

 次回、大阪経済大学で開催の秋季(127回大会)大会のテーマ別分科会・自由論題の応募開始について、ニューズレターNo.74にて4月末としておりましたが、5月13日(月)から開始し、6月13日(木)までとなりました。応募詳細については、5月に入ってから再度ご案内します。

 すでに、報告予定の会員の方々には少しお待たせすることになりますが、いましばらくお待ちください。

 なお、前回の春季大会から英文アブストラクトも必要となっていますので、そちらも準備をお願いします。

秋季大会企画委員会
委員長 石井まこと

第126回(2013年度春季)大会 プログラム(冊子体のPDFファイル)

 

2013年04月11日

 第126回(2013年度春季)大会 プログラムが完成しました。まもなく会員の皆さんのお手元に届きます。冊子体と同内容のPDFファイルをアップロードいたしますので、ご活用ください。

第126回大会プログラム(冊子体のPDFファイル) pdf_s

韓国社会政策学会での報告募集(2013年)(募集は締め切られました)

 

2013年02月24日

2013.2.24

社会政策学会 代表幹事 田中洋子 
 国際交流委員長 菅沼隆

 本学会と韓国社会政策学会は、2011年以降、国際交流協定にもとづいた学術交流を行っています。2012年の長野での秋季大会には、韓国側から二名の報告者を招待して分科会を開催しました。

 来る2013年5月に、今度は日本側から二名の報告者を、韓国社会政策学会に派遣することになりました。テーマは「社会福祉・社会保障の財源調達」です。 報告者を二名募集いたしますので、会員の皆様におかれましては、奮ってご応募いただけますよう、お願い申し上げます。

1. 派遣日時
韓国社会政策学会は2013年5月31日(金曜日)開催予定。
派遣期間は5月30日~6月1日(2泊3日)

2. 派遣場所
開催場所は未定(ソウル市内を予定)。宿泊場所は韓国側が準備。

3. 人数
2名

4. 日韓分科会テーマ
テーマは「社会福祉・社会保障の財源調達」( “Welfare Financing”) 。
韓国側からは高麗大学のキム・テイル教授と延世大学のヤン・ジェジン教授が報告予定。

5. 派遣の条件
派遣する学会(日本側)が旅費(出発地から大会開催地)を負担し、受入側の学会(韓国側)が宿泊費と現地交通費等の滞在費用を負担。

6. 応募の条件・申込み先
応募者は「社会政策学会国際交流委員会、韓国社会政策学会での報告応募用紙」に必要な事項を記入のうえ、メール添付にて送付のこと。
メール宛先 bxc04112あっとnifty.com (あっとを@に直して下さい)。

7. 応募締切
3月末日

8. 報告準備
日本語のフルペーパーを5月15日までに韓国側実行委員会に提出(韓国側で翻訳を行う)。要約文あるいはパワーポイントは、英文など韓国側参加者が理解できる形で準備していただけると有り難いとのこと。

9. 分科会の通訳について
同時通訳を予定しているが、逐次通訳となる可能性もある。

10. その他
結果は4月中に応募者本人宛にお知らせする。応募者多数の場合、国際交流委員会において最終的に2名を選考する。

 以上


応募のための様式

日本経済学会連合補助事業のお知らせ(募集は締め切られました)

 

2013年01月09日

 会員各位

平成25年1月8日

日本経済学会連合委員 佐口和郎・玉井金五

 日本経済学会連合から以下の案内が届いています。応募を希望される方、または詳細を知りたい方は、委員までお申し出ください。

第1次募集締切日 第2次募集締切日
(1)外国人学者招聘滞日補助 平成25年2月末日 平成25年6月20日
(2)国際会議派遣補助 2月末日 6月20日
(3)学会会合費補助 2月末日 6月20日

以 上

『社会政策』発行遅延のお詫び

 

2012年12月29日

2012年12月29日

『社会政策学会誌』編集委員長
吉村臨兵

 社会政策学会誌につきましては、いつもご愛読、ご寄稿を賜り、ありがとうございます。

 さて、このたび、2012年12月に刊行予定の『社会政策』第4巻第3号(通巻第13号)の編集作業が、約3か月遅れております。会員はじめ本誌をお待ちの皆様には、たいへんなご心配、ご迷惑をおかけしておりますこと、まことに申し訳ございません。ここに深くお詫び申し上げます。

 これはひとえに編集上の不手際によるものです。今後は入稿期限を厳格に管理してこのようなことが起きないよう、努めてまいります。ちなみに、発行時期は2013年3月中を目処としております。

 それでは、今後もひきつづき社会政策学会誌のご愛読、ご寄稿のほど、お願い申し上げます。

専門部会「社会的排除/包摂部会」が設立されました。

 

2012年09月06日

社会政策学会会員各位
2012年7月

 近年、貧困とともに社会的な孤立やつながりの欠如など、社会的排除が大きな問題として取り上げられるようになってきました。この解決に向け、NPOや社会的企業など、市民の側からさまざまな支援の活動が広がりつつあります。また、日本政府も、この問題に向き合い新たな政策の検討を開始しています。もちろん、こうした動きは、日本だけでなく多くの国においても取り組まれてきています。社会政策を研究する者においては、貧困と社会的排除の問題を調査研究するとともに、的確な政策提言していくことが問われております。このような状況を踏まえて、ここに社会的排除/包摂部会を設立することといたしました。

 この専門部会設立にあたって、数か月前から準備会を立ち上げ、学会会則にのっとり準備を進めてまいりました。そして、去る7月8日に開催された社会政策学会幹事会において、「社会的排除/包摂部会」の設立が承認されました。このことを受け、この専門部会への参加者を募りたいと思います。多くの学会会員の皆さま方がご参加くださいますよう、お願い申し上げます。なお、設立にあたって、次のような設立主旨と活動計画を策定いたしました。ご参照ください。

設立主旨

 1990年代以降、日本では経済社会の構造変化の中で、これまでの社会政策では対応することのできない新たな社会的リスクが登場し、それは深刻さを増してきた。ワーキングプア、ニートや引きこもりの若者、母子世帯、中高齢の長期失業者や無年金者、ホームレス生活者、高齢者の孤独死、自殺者の増加などといった問題である。そこには、貧困、地域や職場、家庭での「つながり」の希薄化、既存の社会政策では対応できないさまざまな困窮が存在している。こうした問題を社会的排除として理解し、その克服の道を社会的包摂として捉えることに、今日多くの支持が得られているだろう。

 しかし、欧州諸国の例を取り上げるまでもなく、そこにはいくつかの道筋があり、日本ではどのような道を切りひらいていくのかが大きな争点となっている。また、社会的排除/包摂は、こうした政策論議の領域にとどまらず、就労支援や社会的企業、地域福祉の在り方、当事者に対する伴走型支援といったきわめて実践的な領域にまで及び、議論と研究を深めることが求められている。すなわち、今日、社会政策のさまざまな領域での制度、そして支援・援助の手法の見直しが求められ、社会的包摂の道を模索し実現していくことが喫緊の課題となっている。本専門部会は、こうした課題について議論と研究を深めていくための組織として、ここに設立をはかるものである。

活動計画

春季および秋季の社会政策学会大会において、分科会を企画・主催する。

また、これと別に、年一度の専門部会の研究会を開催する。

社会的排除/包摂部会 事務局    

阿部 誠(大分大学)・石井まこと(大分大学)
垣田裕介(大分大学)・中山 徹 (大阪府立大学)
福原宏幸(大阪市立大学) 

連絡先 福原宏幸(大阪市立大学)    
E-mail fukuhara [at] econ.osaka-cu.ac.jp
※ [at] を@に書きかえてください。

第125回大会の共通論題と特別分科会の一般市民のご参加について

 

2012年08月02日

 共通論題「『新しい公共』と社会政策」とそれに連動する秋季大会企画委員会企画の特別分科会「地域における『新しい公共』の担い手-長野県からの報告」について、一般市民(研究者以外)の参加費を、資料代として各500円(2つで1000円)といたします。ふるってご参加ください。

社会政策学会特別プロジェクト「東日本大震災と社会政策」の提案

 

2012年08月02日

2012.5.26
社会政策学会幹事会

1.特別プロジェクト発起の趣旨

東日本大震災は、自然災害としての規模や被害の深刻さに加え、原子力発電所事故やその後の政策対応など人災の様相を伴い複合災害化したという点で、現代社会の災害史に特筆される出来事となった。高齢化が進み、産業・雇用基盤の脆弱な東北・東日本の沿岸部を主たる被災地とする巨大災害であることから、復興の長期化、社会活力そのものの縮小、そのもとでの社会的格差や分断の深刻化などが予測される。

大災害からの復興プロセスには、人の生きる力や生活への主導権の再獲得を支える社会政策が組み込まれなければならず、そのためには、直接的な生活・生業保障と一体となった自律的なコミュニティ再生や地域の将来選択への条件づくりが復興の基本に据えられなければならない。そうした観点から、復興過程を検証し、学術的に分析・記録するとともに、被災者・被災地の創造的再生に向け科学的な支援を行っていくことが求められている。そこで、社会政策学会の多様な専門知見を広く集め、国際的にも通用力ある震災復興に関する社会政策の理論蓄積とその公開、ならびに公論形成に努めることとする。

すでに学会幹事会は、第123回大会において東日本大震災に係るテーマ別分科会を開催し、その成果をもとに第124回大会に震災・原発災害関連の共通論題を設定している。この特別プロジェクトは、そうした学会の取り組みの成果を継承するものであることから、これらの企画に関わった学会員が中心となって発起するものである。

2.社会政策学会特別プロジェクトの特徴

東日本大震災への人文・社会系学術団体による系統的な対応としては、すでに、日本心理学諸学会連合、日本社会福祉系学会連合などの学協会連合や、その構成学術団体、友好組織などによる多彩なシンポジウム開催や現地支援、支援指針の構築などがあるほか、東日本大震災リハビリテーション支援関連10団体など職能組織と学術組織の連携による支援など、それぞれの組織的ストレングスを発揮した取り組みが進められてきている。

この特別プロジェクトは、そうした臨床分野からの支援の動きを見据えつつ、地域と暮らしの創造的復興に寄与する包括的な社会政策をデザインするという枠組みから、分析、評価、提言に取り組むこととする。

3.プロジェクトの活動内容

(1)活動方針

・東日本大震災からの創造的復興に役立つ社会政策研究からの学術情報構築ならびに政策提言を行う。
・被災・復興を学術的に分析・検証し、記録化する。

(2)活動内容

・被災・復興に関わる社会政策問題の分析、課題提示、提言、推進すべき事例の検証などに関する論文、レポート、ブログを公開する。
・社会政策上、注目すべき論文、レポート、コメントなどの紹介を行う。
・大会時にテーマ別分科会を設ける。また、災害と社会政策をテーマとするシンポジウムなどを企画する。
・大学・研究機関、学術組織、自治体、民間団体、住民組織などと情報交流や必要な協力を行う。

(3)取り上げるテーマの範囲

・東日本大震災の被災実態・復興過程に関するもの
・福島原子力発電所事故の被災実態・経過に関するもの
・阪神淡路大震災など国内の大規模災害との比較に関するもの
・ハリケーン・カトリーナ災害などグローバルな大規模災害との比較に関するもの
・地域の復興や創造的再生に係る産業・社会システム構築や「新しい公共」形成に関するもの
・災害・緊急事態等の非日常的事態への社会政策領域からの対応に関するもの

(4)メディア

・学会誌『社会政策』
・学会HP上のプロジェクト・サイト

4.運営体制

・発起人が中心となりプロジェクト・メンバーとなる会員を募る。オープンでゆるやかな参加を基本とする。
・プロジェクト・メンバーによる運営会議を置く。プロジェクトの方針決定ならびに実施運営方針は運営会議の合議とする。
・運営会議にプロジェクト代表者としての座長を置く。
・活動の必要性に応じ、学会外の行政、諸団体や地域組織、民間活動体などとの渉外連携を行う担当者を置く。
・投稿的参加を広く呼びかける。
・期間は、東日本大震災発災から3年までの復興期間を重視するという意味で、プロジェクト発足から2年間の時限とし、その後、活動の成果と継続の必要性を点検しながら学会規約に基づく専門部会への展開を考慮する。
・学会として予算措置をとる。
・幹事会ならびに各種委員会と緊密に調整・連携しながら進める。
以上

現在、この特別プロジェクトのメンバーを公募しております。ご関心のある方は、次の連絡先にお問合わせ下さい。

【連絡先】特別プロジェクト暫定座長・布川日佐史(静岡大学)
  e-mail: jehfuka[at]ipc.shizuoka.ac.jp

専門部会「社会的排除/包摂部会」が設立されました。

 

2012年07月31日

社会政策学会会員各位
2012年7月

 近年、貧困とともに社会的な孤立やつながりの欠如など、社会的排除が大きな問題として取り上げられるようになってきました。この解決に向け、NPOや社会的企業など、市民の側からさまざまな支援の活動が広がりつつあります。また、日本政府も、この問題に向き合い新たな政策の検討を開始しています。もちろん、こうした動きは、日本だけでなく多くの国においても取り組まれてきています。社会政策を研究する者においては、貧困と社会的排除の問題を調査研究するとともに、的確な政策提言していくことが問われております。このような状況を踏まえて、ここに社会的排除/包摂部会を設立することといたしました。

 この専門部会設立にあたって、数か月前から準備会を立ち上げ、学会会則にのっとり準備を進めてまいりました。そして、去る7月8日に開催された社会政策学会幹事会において、「社会的排除/包摂部会」の設立が承認されました。このことを受け、この専門部会への参加者を募りたいと思います。多くの学会会員の皆さま方がご参加くださいますよう、お願い申し上げます。なお、設立にあたって、次のような設立主旨と活動計画を策定いたしました。ご参照ください。

設立主旨

 1990年代以降、日本では経済社会の構造変化の中で、これまでの社会政策では対応することのできない新たな社会的リスクが登場し、それは深刻さを増してきた。ワーキングプア、ニートや引きこもりの若者、母子世帯、中高齢の長期失業者や無年金者、ホームレス生活者、高齢者の孤独死、自殺者の増加などといった問題である。そこには、貧困、地域や職場、家庭での「つながり」の希薄化、既存の社会政策では対応できないさまざまな困窮が存在している。こうした問題を社会的排除として理解し、その克服の道を社会的包摂として捉えることに、今日多くの支持が得られているだろう。

 しかし、欧州諸国の例を取り上げるまでもなく、そこにはいくつかの道筋があり、日本ではどのような道を切りひらいていくのかが大きな争点となっている。また、社会的排除/包摂は、こうした政策論議の領域にとどまらず、就労支援や社会的企業、地域福祉の在り方、当事者に対する伴走型支援といったきわめて実践的な領域にまで及び、議論と研究を深めることが求められている。すなわち、今日、社会政策のさまざまな領域での制度、そして支援・援助の手法の見直しが求められ、社会的包摂の道を模索し実現していくことが喫緊の課題となっている。本専門部会は、こうした課題について議論と研究を深めていくための組織として、ここに設立をはかるものである。

活動計画

春季および秋季の社会政策学会大会において、分科会を企画・主催する。

また、これと別に、年一度の専門部会の研究会を開催する。

社会的排除/包摂部会 事務局    

阿部 誠(大分大学)・石井まこと(大分大学)
垣田裕介(大分大学)・中山 徹 (大阪府立大学)
福原宏幸(大阪市立大学) 

連絡先 福原宏幸(大阪市立大学)    
E-mail fukuhara [at] econ.osaka-cu.ac.jp
※ [at] を@に書きかえてください。

第18回学会賞受賞作・選考委員会報告

 

2012年06月26日

第18回(2011年)学会賞選考報告

社会政策学会賞選考委員会

委員長   土田 武史
委 員   伍賀 一道   服部 良子   平岡 公一   森  建資

1 選考経過

 2011年10月の幹事会で上記5名の選考委員が委嘱された。

 学会賞の対象となる文献の選定にあたり、ニューズレターと学会ホームページにおいて自薦、他薦を募ったところ、それぞれ1点ずつの推薦があった。また、2011年12月末にワールドプランニングから会員名簿を取り寄せ、大型書店のデータベースを用いて2011年1月から12月までの間に刊行された会員の著書を検索し、そこから会員暦3年以上の会員の単著62点を選び、その文献リストを各委員に送付した。

 第1回選考委員会を1月31日に早稲田大学で開催した。最初に、学会の選考規程に照らして文献リストの点検を行い、単著でないもの、教科書、法令集など9点をリストから除外した。また、選考委員から新たに2点が加えられ、55点が選考対象となった。選考対象を大きく労働分野と社会保障分野に区分し、委員に割り振ったうえ、次回の選考委員会までにそれぞれの分野で候補作をリストアップし持ち寄ることとした。また、選考にあたっては学会規程と慣例に基づいて行うことを確認した。

 第2回選考員会を3月10日に早稲田大学で開催した。リストアップした55点の作品について一点ずつ審査を行い、最終選考にかける作品として8点を選考し、最終選考にかけるかどうかについてさらに検討を要するものとして7点をリストアップした。その7点の採否についてはメール等で連絡を行うこととし、次回の選考委員会までに最終候補作品の全てを各委員が精査し、受賞候補作について順位をつけて持ち寄ることとした。

 第3回選考委員会を4月14日に早稲田大学で開催した。先の選考委員会で最終選考にかけるかどうか決定していなかった7点について検討を行い、4点を対象から除くこととした。最終選考に残った11点について検討した結果、学術賞については該当なし、奨励賞として2つの著書を選考した。

2 選考理由

 奨励賞の2点についての選考理由は以下の通りである。

 岩永理恵『生活保護は最低生活をどう構想したか-保護基準と実施要領の歴史分析』(ミネルヴァ書房)は、生活保護制度の目的がいかにして実現されてきたのかを明らかにするという視点から、保護基準と実施要領を歴史的に分析し、その変遷を検証したものである。「あらかじめストーリーを描き、そのストーリーにあわせて資料を読み込むのではなく」、「できる限り一次史料にあたり、より事実に即して」制度の歴史的検証を行うという方法で、生活保護専門分科会資料や木村文書史資料その他の膨大な資料を駆使しながら、ほぼ10年ごとの時期区分にしたがって保護基準をめぐる政策形成の展開を詳細に分析している。制度のあり方を基本から見直すうえで重要なテーマでありながら、先行研究がほとんどなく、本書はこの空白を埋めるものとして高く評価される。

 こうした歴史分析による本書の重要な貢献のひとつは、「生活保護が抱える問題の根源は、最低生活概念の狭さと不明さに」あると指摘し、そこでは「生活保護が保障すべき最低生活について『栄養充足』を保障するという一貫した価値観が保たれてきた」ことを明らかにしたことであり、生活保護制度における貧困概念の実態を捉えたものといえる。また、「生活保護の政策形成において『行政運用上の行政的判断』が支配的な決定力をもってきたことを」明らかにしたことも重要な貢献であり、行政過程に立ち入っていかない限り、生活保護制度の歴史的展開を十分に分析できないことを説得的に展開している。

 このように本書は一貫して上記のような政策形成に焦点をあわせた歴史分析を行っているが、やや残念に思われるのは、そうした分析から貧困政策の現状を打破していく糸口が明確にみえてこないことである。1990年代以降の考察において、生活保護制度が直面する新しい生活困窮者であるホームレスや母子家庭への対応を論ずる際に、栄養充足保障を核とする最低生活保障の原理を論ずるだけでは説明が困難ではなかろうか。徹底して政策形成分析に焦点をあわせて論じているが、やはり社会経済状況の変化への言及が欲しい。また、世帯、とりわけ家族や人口の変容、実施機関としての自治体の役割などについても、もう少し掘り下げた分析が望まれるところである。「貧困政策の歴史は必ずしも発展しているのではないことを踏まえ、よりましな貧困政策を構想すること」を意図した本書においては、「よりましな貧困政策」の構想の提示には至っていないように思われる。今後の研究に期待したい。

 李蓮花『東アジアにおける後発近代化と社会政策―韓国と台湾の医療保険政策』(ミネルヴァ書房)は、東アジアの社会政策を工業化と民主化の相互作用のなかで捉える政治経済的視点と、工業化と民主化の歴史性を重視する視点に立って、韓国と台湾の医療保険政策を検討し、東アジアの社会政策全般を国際比較的に特徴づけることを試みた意欲的な作品である。

 本書は最初に、東アジア社会政策研究を東アジアの地域研究と社会政策論の交叉するところに位置するものととらえ、それらの先行研究の到達点と限界を指摘し、そこから「後発国における工業化と民主化と社会政策」という後発性に着目した分析の枠組みを提示している。先行研究の批判的検討をふまえて構築された分析の枠組みがクリアに示され、中国語、韓国語、日本語、英語における文献の渉猟も丹念に行われており、第1章は独立した論文としても高い評価に値する。

 本書の分析によると、韓国と台湾は工業化と民主化の後発性では共通しつつも、工業化(経済構造)と民主化(政治構造)のタイプの相違から医療保険制度の内容と性格の相違がもたらされたとしている。すなわち、韓国と台湾の医療保険政策の共通性は、主として導入期においては輸出志向、政府主導、圧縮的発展、成長イデオロギーなどの特性を有する「後発工業化」によって、それに続く皆保険化への移行期では、反対の自由化、平和的な政権の移行などの「民主化」によって説明でき、相違性は工業化と民主化のタイプの違いおよび初期の制度遺制によって説明できることを実証的に明らかにしている。 

 さらに、社会政策の国際比較研究を行う際の「比較の次元」の視点を導入することにより、「東アジア型社会政策」の特徴、後発によるメリット、デメリットを論理的に示し、中国を含めた日韓台中の東アジアの社会政策比較研究の可能性を示唆している。

 やや残念なこととして、具体的な政策展開の分析の部分では、政治的要因に重点をおいた分析になっており、「後発工業化」を同時に重視している後段の説明図式(解釈枠組)と若干のズレがみられることや、分析枠組みに即した事実の列挙が既存の研究に依拠しており、著者も認めているようにオリジナルなファクトファインディングに乏しいことがあげられる。また、医療保険政策については、社会保障一般の説明図式であって、医療保障ないしは医療保険に特有な要因を含むものとはなっていない。今後の研究に期待したい。

 受賞には至らなかった候補作について若干の講評を記しておきたい。

 山村りつ『精神障害者のための効果的就労支援モデルと制度-モデルに基づく制度のあり方』(ミネルヴァ書房)は、著者が実施した精神障害者とその雇用主を対象とする2つの「当事者調査」の分析を基軸に据えつつ、日本で精神障害者の一般就労を実現するための効果的就労支援モデルとして、アメリカで有効性が証明されているIPS(Individual Placement and Support)モデルを日本の状況に合わせて修正した「修正版IPSモデル」を提示し、そのモデルに沿った支援を実施していく場合の制度的課題と改善策を明らかにしたものである。精神障害者にとっての就労の意味の問い直しを出発点として、サービス給付の方法など個別的な支援法の検討からジョブコーチ事業の一元化などの政策提言に至るまで包括的な研究であり、2つの当事者調査の分析も、質的データの分析法の手順に沿って適切に行われており、若手研究者の著作として高い水準にあるものと評価できる。

 ただし、EBP(科学的根拠に基づく実践)の考え方に立脚するIPSモデルに依拠しながらも、その修正版モデルについてその効果の検証手順にはふれていないなど研究の方法・枠組みが必ずしも明確でない。調査部分についてサンプル数が少なく、対象がごく限られたケースのインタビューに基づいていることも惜しまれる。また、テクニカルタームの説明が後段に行われるなど読者にはわかりにくい論述となっており、記述が重複して冗長と思われる箇所が散見されるなど、見直しの余地があるように思われる。

 須田木綿子『対人サービスの民営化―行政・営利・非営利の境界線』(東信堂)は、介護保険の導入にともなって対人サービスがどのように変容したかを実証的に分析した作品である。対人サービスが民営化されることで、非営利組織が収益事業に進出して非営利組織と営利組織の境界があいまいになるといった海外の研究を参照して、著者は周到に理論的枠組みを作り、そのうえで東京の2つの区における対人サービスの状況を実証的に分析している。その結果、所得水準の低い地域では自費サービスが少ないために非営利組織と営利組織の違いが少なく、所得水準の高い地域では非営利組織と営利組織がそれぞれにニッチを形成して棲み分けていることが明らかになり、日本では他国のように所得水準の高い地域で非営利組織が営利組織に似てくるといったことにはならないといった新しい知見が示されている。

 本書は、社会政策における重要なテーマについて、幅広く海外の研究を吸収し、海外の経験を踏まえたうえで理論仮説を構成し、それを検証するという学術研究のあるべき手続きをしっかり行ったレベルの高い研究として評価できる。しかし、介護保険のもとで対人サービスが抱える問題点(例えば労働条件の低さがもたらす離職率の高さなど)に向き合う視点が弱く、分量的にもいささか物足りない点がある。

 小関隆志『金融によるコミュニティ・エンパワメント―貧困と社会的排除への挑戦』(ミネルヴァ書房)は、発展途上国で注目されたマイクロファイナンスが、先進国の貧困や社会的排除といった問題の解決にも寄与し得るのではないかという問題関心から、アメリカや日本での取組みを紹介し分析した意欲的な作品である。本書はアメリカにおける著者自身の調査なども踏まえ、マイクロファイナンスだけではなく、NPO融資やコミュニティ投資も含むコミュニティ開発金融について、アメリカや日本の状況を包括的に分析した研究である。アメリカで金融サービスを利用できない社会層がかなりいるなかで、社会的企業を支援するための態勢がつくられていることなどを紹介し、日本でコミュニティ投資を進めていくうえで参考になる事例の提供なども行っている。

 金融を個人の潜在能力を発揮しうる社会環境づくりに用いようという実践に注目した本書は、社会政策研究の新たな方向を示唆するものとして評価に値する。また、社会開発論とも重なる学際的なアプローチを行っているが、今後、本書の成果を踏まえて実証研究が進展していくことを期待したい。しかし、理論的分析がやや概説的なものになっていることや、「貧困と社会的排除」に重点がおかれているコミュニティビジネスと、環境コミュニティビジネス(自然エネルギーな)や有機栽培支援と一緒に論じているなど焦点が拡散しているといった問題点も指摘される。

 垣田裕介『地方都市のホームレス―実態と支援策』(法律文化社)は、地方都市におけるホームレス(野宿状態にない人びとも含む)に焦点をあてて、著者も参加した全国レベルの調査(大阪就労福祉居住問題調査研究会、2007年)および厚生労働省「自治体ホームレス対策状況調査』(2007年)の個票分析を行うとともに、大分市における野宿生活者支援活動を通した著者自身の調査(アクションリサーチ)によって、その実像に迫った研究である。従来のホームレス研究が大都市部に焦点をあてたものが多く、厚生労働省の野宿生活者に対する聞き取り調査や政策枠組みも大都市の実態を前提とする傾向があるなかで、地方都市におけるホームレスの実態を描いた意義は評価できる。支援施策や施設、民間支援団体の活動など支援資源の乏しい地方都市における野宿生活者の生活実態、野宿状態に至る経緯、借金問題の大きさ、野宿期間の長期化傾向、生活保護の適用実態などを明らかにしたこと、支援資源の整備状況によって野宿生活者の抱える問題の発現形態や脱野宿の比率および経路に差が生じることを示すとともに、地方都市のホームレス支援策の課題を示したことは評価に値する。調査研究の手法、分析・記述の進め方も手堅い。しかし、事例研究の対象がもっぱら大分市に限定され、他の地方都市の検討が十分になされていない点、理論的分析がやや概説的になっている点などが惜しまれる。

 以上のように、今回、受賞候補にのぼった作品には、研究対象あるいは研究手法において新しい研究の成果と思われるものが見られたが、ここに記載したもの以外にも橋口昌治『若者の労働運動―「働かせろ」と「働かないぞ」の社会学』(生活書院)戸室健作『ドキュメント請負労働180日』(岩波書店)堀口良一『安全第一の誕生―安全運動の社会史』(不二出版)呉学殊『労使関係のフロンティア―労働組合の羅針盤』(労働政策研究・研修機構)などにも社会政策研究の広がりがみられる。(了)