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産業労働部会の設立準備委員会発足

 

2025年7月26日

会員各位

 このたび田中洋子会員より「産業労働部会」の設立申請がなされ、7月20日の幹事会で承認されました。専門部会規程に基づき「産業労働部会設立準備委員会」が設置されました。部会員が20名を超えると、正式に専門部会として発足します。部会員を希望する方は下記入会フォームからお申込み下さい。
https://forms.gle/nCtCXBMLA3r7yUzJ7
多くの会員の参加を期待いたします。

代表幹事 菅沼隆

######設立趣旨文######

新「産業労働部会」(専門部会) 設立趣旨および活動計画
2025年7月7日
設立準備委員会世話人     田中洋子

 2001年5月に社会政策学会の専門部会として、産業労働部会が設立された。「日本経済の展開や産業の動態をふまえつつ、現状分析を中心として労務管理や労働市場、労使関係等について、その相互関係を意識しつつ包括的に研究することを主たるテーマ」とした部会で、その後多くの大会分科会が開かれ、社会政策学会の労働研究の一つの中心となってきた。しかし2010年代以降は活動が低調となり、分科会の開催も困難となったため、2020年5月に部会世話人より代表幹事に廃止届が提出され、2020年6月、幹事会にて部会の解散が認められている(Newsletter 104号)。
 この結果、社会政策学会の中の労働研究を担う一つの重要な専門部会が失われてしまった。学会内の労働研究者は幅広い産業労働を扱う専門部会をなくし、部会を通じた分科会での発表機会や研究交流のチャンスを狭められている状況にある。
 そこで、社会政策学会における長い労働研究の伝統を絶やさず、それを引き継ぎつつも新たな視角からさらに発展させることを期して、新・産業労働部会の設立を準備したい。2000年代の産業労働部会では、研究の焦点が正社員・正職員(男性中心)、大企業の雇用・生産・人事管理政策、それと労働組合との関係にあてられることが少なくなかった。それに対して、今回の新・産業労働部会においては、そうした日本的雇用研究にとどまらず、これまでその「周辺」としてあまり注目されてこなかったさまざまな産業での働き方にも、研究対象の範囲を拡大していきたい。
 それは多くの女性が働くケアワーカーであったり、プラットフォームワーカーやフリーランスなど、大企業正社員研究では見過ごされがちだった広範な研究領域を含む。同時に、日本的雇用の改革・転換に向かう企業の新たな試みとその社会的影響を含む。それぞれの産業や職種ごとに多様に展開する労働のあり方を扱うことで、ジェンダー部会や労働組合部会、非定型労働部会で包摂しきれないテーマ領域をカバーすることを目指すとともに、日本社会が抱えている労働問題を総体として議論できる場としての専門部会の設立を目指す。
 これにより、部会内、また他部会とともに幅広い研究ネットワークを形成し、社会政策学会全体の労働研究が活性化されていくことを期待している。
 新・産業労働部会で取り上げていきたい研究テーマのいくつかの例を以下にかかげ、これらのテーマに研究関心をもつ学会員の参加を募っていきたい。
介護・看護・保育などのケアワーカーを含む医療・福祉・教育分野の働き方/物流・建設・IT・文化コンテンツ産業などの多重請負構造、プラットフォームワーカー、フリーランスの働き方/小売・飲食・宿泊・交通・公共サービスなどエッセンシャルワーカーの働き方
ジョブ型・メンバーシップ型と日本的雇用/年功賃金・成果主義賃金・職務給/労働時間、過労死・労働災害など健康のための社会政策/能力開発・リスキリングと雇用/育児休業・時短勤務・ワークライフバランスとキャリア形成/転勤・異動/AI・デジタル化と仕事の変化
地域経済と雇用/起業・個人事業主・副業の働き方/外国人労働者・高度外国人材の雇用/高齢者雇用・生活問題/就労支援、就労準備・移行・継続支援/産業別・職種別にみた労働組合・同業者団体・NPO・協同組合の役割と可能性
上記テーマについての外国研究・国際比較研究・歴史研究・理論研
その他、部会員が希望する関連研究テーマ
 活動計画としては、春季・秋季の学会大会で部会の集まりをもち、年に一度は学会大会で専門部会の分科会を開催したい。若手より大会企画委員をだし、部会メーリングリストで研究情報を共有する。可能であれば部会内で共同研究を進め、他の専門部会と連携・協力しながら研究会やシンポジウムを企画するなど、社会的発信も進める予定である。
新「産業労働部会」の専門部会設立をもって、社会政策学会の研究活動の一層の活発化を期したい。

2025年6月
設立準備委員会世話人        田中洋子   
設立準備委員会委員 (あいうえお順)
阿部誠、石井まこと、禹宗杬、鬼丸朋子、小尾晴美、金井郁、禿あや美、木本喜美子、金鎔基、熊沢透、小谷幸、今野晴貴、首藤若菜、柴田徹平、菅沼隆、清山玲、松尾孝一、松永伸太朗