過去の代表幹事挨拶

過去の代表幹事挨拶

2022-2024年期

代表幹事就任にあたって

代表幹事 禹 宗杬

 

  社会政策学会の2022-2024年期幹事会が発足し、私が代表幹事に選出されました。微力ながら幹事会の円滑な運営に努めてまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 この間、わが学会は、会員の皆さまのご尽力に助けられ、比較的安定した状況を保ってきました。多くの学会において会員の減少が懸念されるなか、わが学会はそれほど会員数を減らしておらず、新たに入会する会員の数もコンスタントに推移しています。「教育セッション」を設け、大会若手研究者優秀賞を新設し、研究者育成フォーラムを立ち上げるなど、若手研究者を支援する活動にも着手し、それなりの成果を生み出すようになりました。

 しかしながら、これに満足するわけにはいきません。課題は、学会の組織・運営の面にも、学会の研究・発信の面にもあります。前者では、教育と研究の環境が厳しさを増すなか、若手の場合はキャリアの展望をなかなか持てず、中堅・シニアの場合も多忙のゆえ教育研究の余裕を失っているという問題があります。結果、わが学会に求められる役割期待は、少なくとも客観的には高まっているといえましょうが、これに応えられる用意は十分ではありません。

 一方、後者では、気候変動や「コロナ禍」、そしてロシアのウクライナ侵攻が典型的に示すように、この時代がわれわれに突きつけている課題は重大でかつ複雑です。日本が経験している格差や貧困、人口減少、社会停滞などもその対策が切実な問題です。これらに対し、わが学会は真摯に取り組み、相応の成果を発信してきました。それは紛れもなく誇らしいことです。しかしながら、世界的にも国内的にも状況はある意味悪化しており、わが学会にもさらなる奮闘が求められているといえます。

 このような課題への本格的な対応は、むろん、より長いタームでの取り組みを要し、今期幹事会の成し遂げ得る仕事ではありません。ただし、少しでもその道を開き、次期にバトンタッチできるように、今期幹事会としても努力する所存ですので、ご理解とご協力のほどよろしくお願い申し上げます。

20226月8日

 

2020-2022年期

代表幹事就任にあたって

代表幹事 石井 まこと

 

 

私は、新しく発足した幹事会の互選のもと、2022年の春季大会まで学会運営をとりまとめることになりました。社会政策学会戦後再建から数えて36番目の代表幹事として任にあたります。この場をお借りし、ご挨拶申し上げます。

ところで、われわれ会員の多くが所属する大学は、真実を見極めようとする研究者にとって、ややもすると疲弊する組織になってきており、若手研究者を育成する余裕や活力が失われているように見えます。予算と人が減らされ、教授会で合議して決定する仕組みも骨抜きにされるなかでの「大学改革」は、教育研究の発展に暗い影を投げかけています。

そうしたなかで学会は、「大学改革」に振り回されずに、自由闊達な議論と鋭く多様な視点で社会問題を切り取り続けていく意欲を奮い起こさせるコミュニティであり続けることが今求められていると痛感しております。

そのために、特に若手・中堅研究者が学会に愛着を持ち、学会の人脈を活用して研究活動に活かしていけるよう、美味しい料理やお酒とともに、大いに研究談議が盛り上がる学会運営ができればと考えています。現在COVID-19下で会員が集まることに制約がかかっていますが、われわれ今期幹事会では、この時期においても学会活動を継続して、これまで育まれてきた学会の叡智を次につないでく役割を担っていると考えています。

「学会活動をとめない」を旗印に、時代や社会の変化を的確にとらえる研究を進め、次代の社会政策を創る院生・若手研究者の支援をする活動に取り組んで参ります。

また、幹事は学会員の多くの信任によって成り立っています。次期幹事選挙にむけて、学会への参加とともに、幹事選挙にも参加を促すように考えていきたいと思っております。どうぞ、よろしくお願いいたします。

202061

2018-2020年期

代表幹事就任にあたって

代表幹事 埋橋 孝文

 

 

社会政策学会の2018-2020年期幹事会が発足し、私が代表幹事に選出されました。よろしくお願いします。

 社会政策学会を取りまく内外の状況には厳しいものがあり、そのことは、会員数や大会参加者数の減少といった形ですでにあらわれています

 そうしたことを念頭において、この20182020年期では、以下のような取り組みを重点的におこなっていきます。

1.若手会員にとって魅力的な企画の充実

2.地方部会の活動のいっそうの活性化

3.大会プログラムと運営のあり方の改善

前代表幹事の遠藤公嗣氏のもとで、学会活動は大きな発展を遂げました。私はこれを引き継ぎ、さらに発展させたいと思っています。

「会員の期待、要望に応えて新しい企画、試みにチャレンジする」を指針とします。ご協力のほど、よろしくお願いします。

 

2016-2018年期

代表幹事就任にあたって

代表幹事 遠藤 公嗣

 

 社会政策学会の2016-2018年期幹事会が発足し、私が代表幹事に選出されました。よろしくお願いします。

 この数年間、学会のガバナンス(統治と管理のあり方)について、私はいくつかの問題を感じるようになっておりました。学会の長期的な発展を担保するため、今期は、その改善に尽力したいと思います。私はもう老人ですが、老人こそ実施しやすい改革があるとも思っています。そして、新進気鋭の会員に学会活動をリードするようになってもらいたいと思っています。

 最近、にわかに感じるようになった大きな問題として、大会参加者数の急激な減少があります。第132回明治大学大会で実施したアンケート調査の結果から、その原因は何かの示唆を得たようにも思われます。今期中に、示唆を確認し、可能な限りすみやかに、対策をとりたいと思っています。

 前代表幹事の平岡公一氏のもとで、学会活動は大きな発展を遂げました。私はこれを引き継ぎ、さらに発展させたいと思っています。

 代表幹事の仕事は、私にとって、学会に対する「最後のご奉公」です。学会運営について、会員各位のご協力をいただければ幸甚です。

 

2014-2016年期

代表幹事就任にあたって

代表幹事 平岡 公一

 

 このたび、社会政策学会の第33期(2014-2016年期)代表幹事に選出されました。就任にあたって一言ご挨拶を申し上げます。

 ここ10年ほどの間に、本学会ではさまざまな改革、あるいは新たな取り組みが実施されてきました。その主なものとしては、新たな学会誌『社会政策』の刊行、「社会政策関連学会協議会」の設立、韓国・ヨーロッパ・アメリカ・中国の学会等との国際学術交流の推進、大会共通論題への外国人研究者の招聘、大会報告のフルペーパーの電子化、学会事務局の体制強化、英文ページを含む学会ホームページの充実、新たな専門部会の設置、大会開催費の大幅増額、各種規程の見直し等をあげることができます。私も、委員会・幹事会のメンバーとして、これらの改革等のいくつかに関わらせていただきました。

 今期の学会運営にあたっては、このような改革と取り組みの成果を引き継ぎ、本学会の活動のなかに定着化させていくことを第一の目標といたします。そして、そのことを前提にして、次の点に重点的に取り組みたいと思います。

 その第一は、大会および学会誌の企画の更なる充実です。大会の共通論題および学会誌の特集等の企画は、国内外の先端的な研究の成果をふまえ、かつ社会政策の現実的な課題に対応したものとなるよう努めます。大会プログラムに、教育的性格のワークショップや英語セッション等を導入し、会員の多様なニーズに対応していきたいと考えています。このような企画の充実により、社会政策諸分野の研究者に対する吸引力を高めていくことが、学会の将来にとって、きわめて重要であると考えます。

 第二に、ICTを活用した会員のみなさまへの情報提供を充実させるとともに、本学会の活動に積極的に取り組んでいただける環境の整備に努めます。専門部会・地方部会の活動への支援の強化、委員会委員の負担の軽減等が特に重要と考えています。

 第三に、学会活動の国際化の推進に向けての取り組みを強化いたします。韓国・ヨーロッパ・アメリカの学会との交流の更なる推進に加え、中国等の国々の研究者との交流にも取り組みたいと考えています。

 第四に、関連諸団体・諸機関との協力関係の維持・強化に取り組みたいと考えています。本学会が設立に関わった社会政策関連学会協議会の活動をさらに推進するとともに、必要に応じて、日本学術会議、日本学術振興会等の学術関連の機関に対して情報提供、提案等の協力を行うことといたします。

 第五に、健全な学会財政を維持するとともに、中期的な計画に基づく予算執行が可能となるよう会計方式の見直しに取り組みたいと考えています。

 さて、今日の日本社会の状況をみると、雇用の非正規化と格差拡大、貧困と社会的排除、少子高齢化、虐待、社会的孤立等の社会問題群への領域横断的・総合的な対応の重要性が増していると考えられます。このような状況のもとで、雇用労働を中心に、社会保障・社会福祉・保健医療、生活、ジェンダー等の幅広い分野の研究者を擁する本学会の果たすべき社会的役割は、かつてないほど大きくなっているといえるのではないでしょうか。

 このような社会的期待に応え、社会政策研究の更なる発展をはかるために、幹事のみなさまと力を合わせ、会員のみなさまのご意見を踏まえて、学会を運営してまいりたいと思います。どうかご協力、ご支援をよろしくお願い申し上げます。

 

2012-2014年期

代表幹事就任にあたって

代表幹事 田中 洋子

 

 私たちの働き方・生き方は、グローバル競争からの圧力や、家族・地域、人口構造の長期的変化などを通じて、大きく変わりつつあります。そこに2011年の震災や原発事故も重なり、多くの場で生きづらさを抱える人々が生れています。しかし、こうした変化の中で新たに生じ、拡大し、深刻化しているさまざまな問題に対しては、必ずしも十分に適切な政策的対応がなされているとは言いがたい状況にあります。

 社会政策学会は年々会員が増加し、春季・秋季大会での報告者や、非会員を含む大会参加者も増えてきました。このことは、社会政策学会に求められている社会的な役割が、近年ますます大きくなっていることを示していると言ってよいでしょう。社会政策学会は、多くの解決すべき社会的課題に答えるべく、一層活動を活発化させていく必要があると考えられます。

 2012-2014年期の選出幹事による互選により、私は第32期の社会政策学会代表幹事に選出されました。代表幹事として一番大切にしたいことは、学会活動の活発化を支える最も重要な基盤である、会員の皆様一人一人の研究活動の支援をしていくことです。そのために、大会・部会・学会誌を通じた研究成果の発表をうながすことをはじめ、会員相互の交流・刺激、学術的向上や情報・ネットワーク形成をはかる場を積極的に提供していきたいと思います。

 特に今期の幹事会で重点的に取り組みたいと考えているのは以下の点です。

 一つは国際的なつながりの強化です。日本が抱える問題の多くは、グローバルな背景を共有し、世界的に共通する要素を含んでいます。そうした問題を考える際に、海外の学会や研究者との学問的交流や議論、事実認識の確認作業を進めていくことはとても重要で、相互の知的刺激となるでしょう。そのために、社会政策学会の国際的な受信・発信を一歩ずつ強化していきたいと思います。

 前幹事会において締結された韓国社会政策学会との交流協定にもとづき、2011・2012年には日韓双方の社会政策学会大会での交流セッションがスタートしました。ほかにも、中国、ヨーロッパ、アメリカ合衆国等の関連学会とのネットワークづくりを模索していきます。

 さらに、学会から世界への情報発信を強化していくため、まず英語のホームページ、その後は各国語のホームページの作成を進めていきます。社会政策学会がどのような研究を進めている学会か、現在の日本語ホームページだけでは世界に十分伝わりません。そのため、今後は大会での報告内容の紹介などを逐次英文ホームページに掲載していきたいと思います。皆様のご理解とご協力をよろしくお願いいたします。

 もう一つは地域的なつながりの強化です。一つ一つの現場で問題がどのような形で現れているのか、どのような政策的対応が最善なのかを考えていくためには、個人の研究の蓄積や会員相互の議論に加え、学会がさまざまな地域や現場のネットワークとも情報や議論を共有していくことが大切だと思われます。

 2012年の春季大会では、共通論題「福島原発震災と地域社会」、「震災・災害と社会政策」を通じて、地域やNPOとのネットワークづくりが試みられました。これをふまえて前幹事会でたちあがった東日本大震災に関連する特別プロジェクトでは、2年間の期限付きで、震災をめぐる地域・行政・NPOの活動について研究・記録・発信することになりました。

 2012年秋季大会でも、共通論題「『新しい公共』と社会政策」、特別分科会「地域における『新しい公共』の担い手-長野県からの報告」が企画されています。学会として、さまざまな地域・現場へのアンテナを継続的に貼っていきたいと思います。

 従来の活動方針を継続しつつ、学会誌『社会政策』の充実もめざします。ここ数年で、専門部会などの活動と連動する形で設けられたテーマ別分科会の小特集化や、自由論題報告の論文投稿が大きく進んできました。この方向をさらに進め、専門部会や地方部会などでの研究報告や議論を、大会での報告や学会誌へのより多くの論文投稿に結びつけていけるよう、奨励していく予定です。

 このほかにも、大会報告のプロシーディング導入をめぐる議論や学会誌装丁の再検討、日本学術会議との連携強化などの新しい課題についても、積極的かつ慎重に取り組んでいきます。

 代表幹事として、こうした活動を通じて、会員の皆様の研究活動を、微力ながら側面からサポートしていく所存です。

 今後もより一層、社会政策学会でご活躍いただけますよう、どうぞよろしくお願いいたします。