社会政策学会史料集



『社会政策学会年報』第40集 学会記事

一 大会関係

第九〇回大会(成城大学担当、一九九五年五月二七〜二八日開催)

【共通論題】「技術選択と社会・企業」
I 技術選択と労働問題 岡山大学 清水耕一
II 日本の技術選択と社会編成―機械工業を例として― 九州大学 久野国夫
III 技術とジェンダー 東京大学 大沢真理
IV 南アジアにおける技術受容と企業経営 広島大学 竹内常善
V 技術と企業間分業 関東学院大学 清?一郎
VI 戦後日本における技術選択のマクロ構造について 九州大学 吉岡 斉
【共通論題総括討論】
座長 東北大学 野村正實

【テーマ別分科会】
《第一分科会》「労働市場と自由化政策」
座長 東京大学 佐口和郎
I ヨーロッパにおける労働市場の規制緩和―オランダを中心に― 明星大学 下平好博
II 欧米の労働市場と規制緩和―アングロサクソン・モデルの検証― 静岡大学 三富紀敬
《第二分科会》「国民生活と社会保障の生活課題」
座長 中央大学 工藤恒夫
I 国民生活と福祉政策の論点 大阪府立大学 里見賢治
II 高齢者の生活問題と年金制度 大正大学 唐鎌直義
《第三分科会》「〈家族賃金〉とジェンダー・アプローチ」
座長 花園大学 竹中恵美子
I 〈家族賃金〉イデオロギーの批判と労働力価値論 高田短期大学 中川スミ
II 現代家族と〈家族賃金〉観念 一橋大学 木本喜美子

【自由論題分科会】
《第一分科会》
I 欧米における財産形成政策の特質 一橋大学 藤田伍一
II サッチャー政権によるポピュラー・キャピタリズムを機軸とした住宅政策 東海大学 横山北斗
《第二分科会》
I 看護と介護のどこが違うか その理由は何か 福井県保険医協会 高木和美
II 障害者の所得・就労保障をめぐる制度改革とその影響 高知大学 田中きよむ
《第三分科会》
I 福祉国家の類型論と日本の位置 大阪産業大学 埋橋孝文
II わが国における貧困・不平等の測定―全国消費実態調査再集計による― 日本女子大学 星野信也 東京都立大学 岩田正美
《第四分科会》
I 労働者派遣法の評価と見直しの論点 愛媛大学 長井偉訓
II モリーマグワイア団事件―金ピカ時代の泥棒男爵と"幻"の革命団― 市邨学園短期大学 久田俊夫



第九一回研究大会(関西部会主催、金沢大学担当、一九九五年一〇月二一〜二二日開催)

【共通論題】「弾力化・規制緩和と社会政策」
I 労働時間の短縮と規制緩和・弾力化 駒沢大学 中村真人
II 労働市場の規制緩和と雇用・失業問題 専修大学 加藤佑治
III 産業における規制緩和と労働者―交通・運輸業を事例として― 名城大学 柴田悦子
IV 規制緩和と社会保障・社会福祉の法政策 龍谷大学 脇田 滋
V 欧米の失業問題と規制緩和 明治学院大学 笹島芳雄
VI 今日の規制緩和と労働政策 日本労働研究機構 高梨 昌
【総括討論】
座長 九州大学 下山房雄
主討論者 日本大学 永山利和 大分大学 阿部 誠 大阪学院大学 森田 劭 社会保障研究所 栃本一三郎

【書評分科会】
《女性・家族》
座長 一橋大学 木本喜美子
布施晶子著『結婚と家族』(岩波書店、一九九三年) 日本福祉大学 長沢孝司
伊藤セツ著『両性の新しい秩序の世紀へ』(白石書店、一九九三年) 京都大学大学院 北 明美
社会保障研究所編『女性と社会保障』(東大出版会、一九九三年)
社会保障研究所編『現代家族と社会保障』(東大出版会、一九九四年) 広島女学院大学 佐藤卓利
《外国人労働》
座長 北海道大学 荒又重雄
佐藤忍著『国際労働力移動研究序説』(信山社、一九九四年) 秋田経済法科大学 藤本 剛
山本健兒著『国際労働力移動の空間』(古今書院、一九九五年) 釧路公立大学 吉村臨兵
本多淳亮・村下博著『外国人労働者問題の展望』(大阪経済法科大学出版部、一九九五年) 法政大学 森 廣正
《高齢化問題》
座長 大阪府立大学 里見賢治
川上則道著『高齢化社会はこうすれば支えられる』(あけび書房、一九九四年) 大阪経済法科大学 福島利夫
橘木俊詔・下野恵子編『個人貯蓄とライフサイクル』(日本経済新聞社、一九九四年) 日本福祉大学 馬場康彦
二木 立著『「世界一」の医療費抑制政策を見直す時期』(勁草書房、一九九四年) 国民医療研究所 大山正夫
《福祉国家論》
座長 下関市立大学 堀内隆治
永山 誠著『戦後社会福祉の転換』(労働旬報社、一九九三年) 華頂短期大学 林 博幸
稲上毅・H.ウイッタカー・逢見直人他著『ネオ・コーポラティズムの国際比較』(日本労働研究機構、一九九四年) 佐賀大学 富田義典
《昇進と競争》
座長 京都大学 久本憲夫
脇坂 明著『職場類型と女性のキャリア形成』(御茶の水書房、一九九三年) 愛媛大学 川東英子
今田幸子・平田周一著『ホワイトカラーの昇進構造』(日本労働研究機構、一九九五年) 京都大学大学院 居神 浩
橘木俊詔他編『「昇進」の経済学』(東洋経済新報社、一九九五年) 同志社大学 石田光男
  (大会関係記事は学会本部事務局記)



 

二 部会関係

◇北海道部会
日時 一九九六年三月二三日(土)午後二時〜
場所 北海学園大学
【報告】
過労死をめぐる新しい論点 北海学園大学 美馬孝人
  (北海道大学 荒又重雄記)

◇東北部会
日時 一九九五年七月二九日(土)午後一時〜五時 一九九五年七月三〇日(日)午前一〇時〜午後四時
場所 第一日目 宮城県作並荘 第二日目 東北大学経済学部
出席者 二五名(うち非会員四名)
【報告】
I 日本労働研究の問題――小池理論批判 東北大学 野村正實
II アフリカ労働運動の歴史的特徴 福島大学 伊部正之
★今年度は、土地制度史学会東北部会とのジョイントで開催されたが、社会政策学会員の報告は以上の二点であった。
  (東北学院大学 斎藤義博記)

◇関東部会
日時 一九九六年四月二〇日 午後二時〜
場所 日本大学商学部本館三階大会議室
【報告】
I 現代フランスの賃金問題 フランス国立経済社会労働研究所 野原博淳
II イギリスの労働問題 大阪府立大学 中山 徹
  (日本大学 永山利和記)

◇関西部会
日時 一九九五年一二月二日(土)午前一一時〜午後四時三〇分
場所 関西学院大学池内記念館第一研究会室
出席者 二〇名
【報告】
I 社会政策の政策単位としての家族と個人 同志社大学 田中裕美子
II サービス貿易に伴う国際的な人の移動をめぐる諸問題 関西学院大学 井口 泰
III 外国人女性労働の実態――事例研究から 愛知淑徳大学 国信潤子
  (関西学院大学 池田 信記)

◇中国・四国部会
日時 一九九五年七月二二日(土)午後一時〜五時
場所 徳山大学経済学部四階会議室
出席者 一一名
【報告】
I 雇用・労働市場の規制緩和と日本的労使関係――労働者派遣制度を中心に 愛媛大学 長井偉訓
II 医薬品における「医療費適正化」 下関市立大学 中上光夫
III 高齢者の地域保健福祉の現状と課題――北川村高齢者実態調査を踏まえて 高知大学 田中きよむ
IV ノーマリゼーションと地方分権の国・デンマーク―社会開発サミットNGOフォーラムに参加して― 徳山大学 富吉繁貴
  (吉備国際大学 松井栄一)
◇九州部会
第六一回研究会
日時 一九九五年九月九日(土)午後一時〜五時
場所 熊本学園大学本館第三会議室
出席者 一六名
【報告】
I フランス技術者範疇の社会的創造―教育制度・社会階層・内部労働市場の内的連鎖構造― フランス国立経済社会労働研究所 野原博淳
II 自主経営企業における労働組合機能の実態 佐賀大学 塚本一郎
第六二回研究会
日時 一九九六年二月一七日(土)午後一時〜午後五時
場所 九州大学経済学部大会議室
出席者 一五名
【報告】
I ME技術と労働過程の現在 佐賀大学 富田義典
II 韓国賃金のマクロ的決定に関する研究 九州大学大学院 金 哲
★いずれも研究会の終了後に懇親会を開いている。なお、次回の研究会は一九九六年九月七日に佐賀大学で開催を予定している。
  (大分大学 阿部 誠記)



 

三 分科会関係

◇労働組合分科会
日時 一九九五年一二月九日(土)午後二時〜
場所 國學院大学
出席者 一二名
【報告】
GM社をめぐるアメリカ労働史研究―ファインとエッヅフォースの現場像― 小樽商科大学 高田 聡
  (東京大学 佐口和郎記)

◇生活問題・社会保障合同分科会
日時 一九九六年四月一三日
場所 日本女子大学
【報告】
社会福祉法人機能の現状と課題 東京海上メディカルサービス 矢野 聡
  (新潟大学 横山和彦記)
◇福祉問題分科会
日時 一九九五年七月一日(土)午後一時三〇分〜四時三〇分
場所 佛教大学第一会議室
【報告】
規制緩和と社会保障・社会福祉の法政策 龍谷大学 脇田 滋
日時 一九九六年三月三〇日 午後一時半〜四時半
場所 佛教大学一号館五階中会議室
【報告】
「社会福祉と非営利事業」
I 高齢化社会における非営利活動の可能性 京都福祉生協設立発起人会 毛利克哉
II ドイツの社会国家とセルフ・ヘルプ運動 金沢大学 的場信樹
  (佛教大学 浜岡政好記)



 

四 大会総会記録

第九〇回大会総会記録
日時 一九九五年五月二七日(土)午後四時四〇分〜五時三〇分
場所 成城大学七号館四階大会議室
出席者 約一七〇名
議長 下山房雄会員
【報告事項】
1 二村一夫代表幹事より、一九九四年度活動報告が行われ、全会一致で承認された。
2 代表幹事より、一九九四年度決算報告が行われ、ついで、佐口卓監事より、会計監査報告があり、全会一致で承認された。
【審議事項】
1 一九九五年度予算案について、代表幹事から提案があり、全会一致で承認された。
【学会賞】
総会の最後に、栗田健選考委員会委員長の選考経過報告の後、第一回社会政策学会学術賞および奨励賞の授与式があり、代表幹事から受賞者に表彰状および副賞が手渡された(上井喜彦会員はアメリカ留学中のため欠席)。
 なお、第一回社会政策学会賞の受賞者および受賞作品は次のとおりである。
《学術賞》
山本 潔『日本における職場の技術・労働史――一八五四〜一九九〇年』(東大出版会、一九九四年二月刊)
《奨励賞》
上井喜彦『労働組合の職場規制――日本自動車産業の事例研究』(東大出版会、一九九四年二月刊)
佐藤 忍『国際労働力移動研究序説――ガストアルバイター時代の動態』(信山社、一九九四年九月刊)

第九一回臨時総会記録
日時 一九九五年一〇月二一日(土)午後三時四〇分〜五時一五分
場所 金沢大学 文・法・経済学部講義棟A一〇一講義室
出席者数 一五一人
議長 竹中恵美子会員
【協議事項】
(1)会則改正案について
 二村一夫代表幹事から、会則改正案の提案に至った経緯について、以下のような説明があった。
 (1)現在の会則は、一九五〇年に学会が再建されたときに決まったものである。その後、四五年の間に三回ほど部分的な改正が行われたが、基本的には制定時のままで現在に至った。(2)しかし、半世紀近い間には、会則だけでは運営しがたい問題がおこり、さまざまな機会に、会則を補うため、「幹事会申し合わせ」、「幹事会了解事項」、「幹事会確認」、「内規」などが決められた。(3)前期の幹事会で、これらの「了解」や「確認」があまりに多く、分かりにくくなっているので、会則にこれらの取り決めを盛りこむようにしてはどうかということになり、原案が作成された。(4)しかし、その改正案のなかに、役員の多選禁止規定が含まれていたことから、たんなる技術的な改定ではなく、内容的な問題まで会則改正に含めるのであれば、その前に学会改革について、十分に論議を尽くし、その上で会則改正を行うべきであるとの意見が出され、本問題の具体的検討は、今期の幹事会に引き継がれた。
 (5)そこで、今期の幹事会は、一九九四年五月に発足後、本日の昼休みまでに一四回の幹事会を開き、その都度、学会改革問題について討議をすすめてきた。とくに、昨年秋の佛教大学における研究大会の前日に開いた幹事会と本年春の成城大学における大会の前日に開いた幹事会で、この問題を集中的に討議し、役員の選出方法や多選の制限などを初め、改革の大筋について、ほぼ決定をみた。(6)こうした一連の討議経過および結果については、その都度、Newsletter に掲載し、全会員に伝えてきた。(7)今回の改正案は、こうした経緯を踏まえ、学会改革について、幹事会の意見が一致した点を具体化したものとして作成した。なお、Newsletter No.5で、会則改正案の素案を発表し、一般会員の批判を仰いだが、とくに意見は寄せられなかった。(8)そこで、昨日の幹事会で、素案についてさらに検討を加え、本日の提案となった
 以上の経過説明のあと、「会則改正案」と「幹事の選出に関する規程案」についての提案説明が行われた。主要な改正点は、(1)会則は全体を七章に分け、分かりやすい構成にした、(2)幹事の重任は連続三期を限度とした、(3)幹事の選挙について、これまでの一〇人連記を七人連記とした、(4)推薦幹事については地方ブロック別の枠をはずし、研究分野・性・年齢・地域などの諸要素を総合的に考慮して選ぶようにした、(5)幹事会における六五歳以上の幹事を、全会員中に占める六五歳以上の会員の構成比以内とした、(6)顧問制度を廃止した、(7)会費滞納者の自然退会処分をはやめ、会費を三年以上滞納した会員は幹事会の議決で退会したものとみなすことが出来るようにした、などである。なお、本日の提案と、Newsletterに掲載した〈素案〉との違いは、単純な文言上の修正を別にすれば、分科会に会員以外の方が準会員として参加できることを明記した点である。
 以上の提案説明に対し、つぎの三点について質問と意見があった。
 (1)会則二六条で、準会員の参加を分科会に限定しているのはどういう意味か。分科会だけでなく、大会などにも準会員が参加できるようにしたほうがよいのではないか。
 (2)第一一条の従来の「会計監査」は、会計監査だけを期待されていたのか、民法上の法人にいう監事は、会計とともに、業務内容についても行なっているが。
 (3)六五歳以上の幹事の数を、会員の年齢構成比の枠内と決めているが、そうなると何年何月何日現在で、何人という細かい数字を出さなければならないのは技術的に可能か。
 これらの点について、代表幹事から次のような回答があった。
 (1)について――本学会は、これまでの会員の参加資格を研究者に限定し、入会審査では、かなり厳格な基準を適用してきている。しかし、実務家や大学院修士課程の院生でも、社会政策学会の活動に関心をもち、参加を希望される方がある。現に、地方部会主催の研究大会も、参加費をいただいてではあるが、非会員の出席を認め、また会員でない方にも報告をお願いしている。今回の改正は、これまでの基準では、入会をお断りしてきたような方々であっても、学会の活動に関心をもっておられる場合には、より参加しやすい形にしようという趣旨である。この場合、「準会員」は、分科会に関しては会員とまったく同等の権利義務を負うことになる。つまり、名簿に登載して、会合の案内などを送ると同時に、分科会の会費も同額をいただくことになるであろう。
 学会そのものについては、いま準会員制を設けるよりも、分科会の活動状況等を見た上で、入会資格基準を、より柔軟に適用することが考えられるのではないか。いずれにせよ、今回の措置は、学会をより開かれたものにし、研究活動をより活発にする第一歩とご理解願いたい。
 (2)について――監事をおいた本来の趣旨までは分からないが、これまでは事実上、会計監査だけであった。
 (3)について――ほぼ全員の生年月を調査し、すてにデータベース化してあるので、会員の年齢構成比は、簡単に出すことができる。
 以上の質疑、応答ののち、挙手によって採決の結果、圧倒的多数の賛成で、原案どおり承認された。
(2)会費値上げ案について
 代表幹事から、「会費規程」の提案と同時に、以下のような説明がなされた。(1)ここ数年来、予算作成にあたって、会費の収入見込額より支出が一〇〇万円前後も上回る赤字予算を組んでいる。(2)予算執行段階では、歴代の本部校のご努力で、主として本部費関係の事務費などを節約し、未納会費を集めるなどの努力がされてきたので、決算段階では、赤字額は予算よりは小幅に済んでいる。(3)しかし、先年度から、海外の学会に加盟したり、学会賞を新設したりで、支出要因が重なっており、値上げしないと今後の学会運営の困難が予想される。(4)ただ、この問題について実施した全会員へのアンケート結果を見ると、値上げをやむをえないとしつつも、なるべく小幅に留めるべきだとの意見が少なくなかった。そこで、年報代三〇〇〇円を除く通常会費分を、これまでの四〇〇〇円から五〇〇〇円と一〇〇〇円値上げさせていただき、年会費を八○○○円にしたい、(5)また、アンケートで多数が賛成されていた、大学院生に対する割引制度を新設し、年会費を六〇〇〇円にしたい。(6)さらに、同一世帯に二人以上の会員がいる場合は、一人を除く会員について、年報代を免除することにしたい。(7)春の大会終了後の入会者は、年報代を除く会費部分を減額し、初年度会費は六〇〇〇円(大学院生は五〇〇〇円)にしたい。
 この提案についての質問・意見はなく、挙手によって、圧倒的多数の賛成で、原案どおり承認された。
  (学会本部事務局記)

〔2007年5月12日掲載〕


《社会政策学会年報》第40集『技術選択と社会・企業』(御茶の水書房、1996年5月刊)による。






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