『社会政策学会年報』第39集 学会記事
一 大会関係
第八八回大会(埼玉大学担当、一九九四年五月二八日[土]〜二九日[日]開催)
【共通論題】「現代日本のホワイトカラー」
I 日本社会におけるホイトカラーの位置―歴史的接近― 千葉大学 三宅明正
II リストラの展開とホワイトカラー人事管理 日本労働研究機構 亀山直幸
III 日本におけるホワイトカラーの企業内キャリア形成 神戸学院大学 中村 恵
IV 女性ホワイトカラーの現状と問題点 立教大学 大森真紀
V 日本型企業社会とホワイトカラー――労働時間と出向の問題を中心に―― 明治大学 永野 仁
VI 「日本的労使関係」下のホワイトカラーと労働組合 日本大学 牧野富夫
【共通論題総括討論】
座長 京都大学 菊池光造
【分科会】
《第一分科会》「高齢者雇用と年金改革」
座長 九州大学 下山房雄
I 年金改革と高齢者の雇用及び所得保障の問題点 横浜国立大学 神代和欣
II 高齢社会における年金保険と年金改革 新潟大学 横山和彦
III 高齢者雇用と年金改革 労働経済調査研究所 庄司博一
《第二分科会》「アジアの労働問題」
座長 信州大学 山本 潔
I B自動車の生産・労務管理と職場の労使関係 東京大学大学院 金 鎔基
II フィリピンの都市労働市場――タイとの若干の比較 東京大学 中西 徹
III 中国国有企業における従業員代表大会制度――鉄鋼大企業の事例を中心に―― 国士館大学 李 捷生
《第三分科会》「自由論題(1)」
座長 大分大学 岡 伸一
I 社会保障の発展における国際機関の役割 ルーヴァン大学 ヴァン・ランゲンドンク
II イギリス福祉政策の新展開 ――オックスフォードのコミュニティ・ケアを中心として―― 日本大学 真屋尚生
《第四分科会》「自由論題(2)」
座長 金沢大学 横山寿一
I わが国における社会保障概念の一検討――社会保障制度審議会「一九九三年報告」と「一九五〇年勧告」をめぐって 鹿児島大学 坂脇昭吉
II「不定住的貧困」と戦後社会福祉政策――東京を例にとって―― 東京都立大学 岩田正美
III 団体定期保険契約にみる「日本型」「企業社会」の現実と評価 北海学園大学 本間照光
《第五分科会》「自由論題(3)」
座長 東京経済大学 川辺平八郎
I 日経連の「賃金の国際比較」を検討する 新島学園女子短期大学 海野 博
II 日本建設産業の労働関係――その現段階と請負、派遣―― 大阪市立大学大学院 吉村臨兵
III 労働者協同組合における統制の構造と実態――日本労働者協同組合連合会センター事業団の事例に即して―― 一橋大学大学院 塚本一郎
【第八九回研究大会】(関西部会主催・佛教大学担当、一九九四年一一月五日[土]〜六日[日]開催)
【共通論題】「今日の生活と社会保障改革」
I 国民生活と社会保障改革 上智大学 堀 勝洋
II Child Support and Social Security(児童支援と社会保障) ヨーク大学 Bradshaw, J.R.(通訳 大阪産業大学 埋橋孝文)
III 高齢化社会と年金改革 上智大学 山崎泰彦
IV 今日の医療と医療保障改革――「第二次保険・医療改革」は成功するか? 日本福祉大学 二木 立
V 介護問題の現状と福祉改革 淑徳大学 川上昌子
VI 社会福祉政策と参加・参画――老人保健福祉計画と地域福祉活動計画を素材に―― 同志社大学 井岡 勉
【総括討論】
座長 北海道大学 荒又重雄 神戸学院大学 樫原 朗
主討論者 鹿児島大学 坂脇昭吉 大阪市立大学 木下秀雄 札幌医科大学 前田信雄 岡山県立大学 山本 隆
【書評分科会】
《福祉国家・社会保障》
座長 龍谷大学 木村正身
社会保障研究所編『社会保障の財源政策』(東京大学出版会、一九九三年) 日本福祉大学 武田 宏
相沢与一著『社会保障《改革》と現代社会政策論』(八朔社、一九九三年) 信州大学 菅沼 隆
樫原 朗著『イギリス社会保障の史的研究IV』(法律文化社、一九九三年) 関西学院大学 安保則夫
《労働・職場1》
座長 東北大学 徳永重良
栗田 健著『日本の労働社会』(東京大学出版会、一九九四年) 京都大学 久本憲夫
職業・生活研究会編『企業社会と人間』(法律文化社、一九九四年) 山形大学 小笠原浩一
京谷栄二著『フレキシビリティとはなにか』(窓社、一九九三年) 神奈川大学 遠藤公嗣
《労働・職場2》
座長 同志社大学 石田光男
野村正實著『トヨティズム』(ミネルヴァ書房、一九九三年)『熟練と分業』(御茶の水書房、一九九三年) 東京大学 佐口和郎
小池和男著『アメリカのホワイトカラー』(東洋経済新報社、一九九三年) 豊田工業大学 岸田尚友
高梨 昌編『変わる日本型雇用』(日本経済新聞社、一九九四年) 専修大学 柴田弘捷
《女性・家族》
座長 昭和女子大学 伊藤セツ
大沢真理・原ひろ子編『変容する男性社会』(新曜社、一九九三年) 武庫川女子大学 小松満貴子
竹中恵美子・久場嬉子編『労働力の女性化』(有斐閣、一九九四年) 高田短期大学 中川スミ
上野千鶴子著『近代家族の成立と終焉』(岩波書店、一九九四年) 岡山大学 脇坂 明
《高齢化社会・福祉》
座長 大阪府立大学 庄谷怜子
小川政亮・垣内国光・河合克義編『社会福祉の利用者負担を考える』(ミネルヴァ書房、一九九三年) 東京経済大学 大本圭野
高木郁朗編『自立と選択の福祉ビジョン』(平原社、一九九四年) 長野大学 唐鎌直義
古川孝順著『社会福祉学序説』(有斐閣、一九九四年) 九州国際大学 中原弘二
二 部会関係
◇北海道部会
日時 一九九四年七月九日(土)午後1時〜3時
場所 北海道大学経済学部三階大会議室
出席者 一七名
【報告】
北欧労働組合システムにおける新傾向(フィンランドの場合) タムペレ大学 タピオ・コスキア
日時 一九九四年九月二四日 午後2時より
場所 北海道大学経済学部三階大会議室
出席者 一三名
【報告】
「個人的所有」と労働運動 元日産プリンス労組 田嶋知来
日時 一九九五年二月二七日午後三時より
場所 北海道大学経済学部三階大会議室
【報告】
労使関係論の講義体系について 九州大学 下山房雄
日時 一九九五年二月二八日午前一〇時より
場所 北海道大学経済学部三階大会議室
出席者 一五名
【報告】
熊沢誠教授の労働運動理論について 九州大学 下山房雄
出席者 一三名
(北海道大学 荒又重雄記)
◇東北部会
日時 一九九四年七月二七日(水)午後二時〜五時三〇分
場所 東北大学経済学部
出席者 八名(うち非会員一名)
【報告】
I 日本的労使関係の形成 東北学院大学 菅山真治
II 労使関係政策における市民的自由 山形大学 小笠原浩一
座長 東北大学 徳永重良
(山形大学 小笠原浩一記)
◇関東部会
日時 一九九五年四月一五日(午後2時〜5時)
場所 日本大学商学部本館三階大会議室
出席者 一一名
【報告】
I 労働市場における取引費用の産業組織に及ぼす影響――産業組織の日独比較研究―― ドイツ日本研究所 F.ヴァルデンベルガー
II 労働市場の弾力化問題 日本大学 永山利和
III ドイツ労働市場の弾力化問題――中小企業再編成と関連して―― 日本大学 平澤克彦
(日本大学 永山利和記)
◇関西部会
日時 一九九四年一二月一〇日(土)午前一〇時三〇分〜午後四時
場所 立命館大学国際平和ミュージアム
出席者 二三名
【報告】共通論題―「社会政策論の再検討」
I 社会政策論における〈社会〉と〈政策〉 関西学院大学 池田 信
II 近代の生活と社会生活像(試論)――日本の経験にもとつく歴史現象論的接近―― 同志社大学 中川 清
III 国際的視野からみた日本社会政策の特質 大阪市立大学 玉井金五
座長 立命館大学 藤原壮介
(関西学院大学 池田信記)
◇中国・四国部会
日時 一九九四年七月三〇日 午後一時〜五時
場所 高知県立高知短期大学会議室
出席者 一五名
【報告】
I 障害者の所得・就労保障の現状と課題――「国連・障害の十年」期の制度改革を中心として―― 高知大学 田中きよむ
II ホワイトカラーの合理化と労働時間の弾力化――印刷大企業を中心として―― 高知大学 清山 玲
III 河上肇の「新たなる旅」をめぐって 愛媛大学 小林漢二
IV 長期不況下の鉄鋼独占企業のリストラ「合理化」と労働者・労働組合の対応 高知短期大学 芹沢寿良
(吉備国際大学 宮田千蔵記)
◇九州部会
第五九回研究会
日時 一九九四年九月一〇日(土)午後一時〜午後五時
場所 熊本学園大学本館会議室
出席者 一四名
【報告】
I 現代における社会保障の意義 熊本学園大学 井上吉男
II 医師患者関係論 久留米大学 渡辺 満
III ウエッブ夫妻の労働組合論――「産業進歩」との関連で―― 九州大学大学院 江里口拓
第六〇回研究会
日時 一九九五年二月一一日(土)午後一時〜午後五時
場所 九州国際大学国際商学部大会議室
出席者 一四名
【報告】
I F.M.イーデンの貧困観 長崎県立大学 吉尾 清
II 社会保障の国際比較と国際的「調整」 大分大学 岡 伸一
(大分大学 阿部誠記)
三 分科会関係
◇労働組合分科会
日時 一九九五年四月三日(月)午後二時〜午後五時
場所 東京大学経済学部第一共同研究室
出席者 一二名
【報告】
イギリスにおける労働組合と労働政策――小笠原浩一著『〈新自由主義〉労使関係の原像』木鐸社、一九九五年をめぐって―― コメンテーター 東京大学 森建資ほか
(東京大学 佐口和郎記)
◇生活問題・社会保障合同分科会
日時 一九九五年三月一一日
場所 早稲田大学
【報告】
ドイツの介護休暇 早稲田大学 土田武史
(新潟大学 横山和彦記)
◇福祉問題分科会
日時 一九九五年三月二二日(水)午後一時〜午後五時
場所 佛教大学
【報告】
共通論題 転換期の社会福祉政策
I 社会福祉政策 金沢大学 横山寿一
II 児童福祉政策 同志社大学 大塩まゆみ
III 介護政策 淀川勤労者厚生協会 大松美樹雄
(佛教大学 浜岡政好記)
四 大会総会記録
第八八回総会記録
日時 一九九四年五月二八日(土)午前一一時三〇分〜一二時および午後五時〜五時三〇分
場所 埼玉大学教養部A棟
議長 西村豁通会員
《概況》
第八八回総会は、一九九四年五月二八日、埼玉大学で開かれた。例年、役員選挙の開票に時間がかかり、推薦幹事の選考が翌日にもち越されることもあったため、今回は昼休み前に総会を開き、投票実施後に休会し、午後五時から再会するという形をとった。
《審議事項》
下記の案件が加藤佑治代表幹事、および佐口卓監事から報告・審議のうえ、賛成多数で可決した。
1.一九九三年度決算報告
2.一九九三年度会計監査報告
3.一九九四年度予算
4.社会政策学会賞表彰規程
なお、四の学会賞の新設や、国際学会への加盟にともなう費用は、予算に計上されていないので、一九九四年度は「預り金」から支出することも承認された。また、こうした諸活動を別にしても、学会の財政状況は厳しくなっており、次年度には会費の値上げがさけられないのではないかとの見通しが、加藤代表幹事から示唆された。
5.金井信一郎会員(明治学院大学名誉教授)を名誉会員に推薦することが了承された。
《報告事項》
1.加藤代表幹事から、『年報』第三八集掲載の「学会記事」にもとづき、各部会・分科会報告が行われた。
2.相沢与一選挙管理委員長から、つぎのような幹事選挙結果が報告された。
(関東)戸塚秀夫、加藤佑治、高橋祐吉、二村一夫、栗田健、伊藤セツ、牧野富夫、早川征一郎。なお、次点の大沢真理、兵藤氓フ両会員の得票は、早川会員と同数であったため、規定により抽選で早川会員を当選と決定した。(関西)竹中恵美子、西村豁通、熊沢誠、菊地光造。(東北・北海道)相沢与一、荒又重雄。(中・四国・九州)下山房雄、清山卓郎。
3.監事には、佐口卓会員が選出された。
4.第一六期学術会議会員の抽選決定状況について戸塚秀夫幹事から、会員推薦決定の経過とそれに関する幹事会での議論の内容が紹介された。栗田健会員は、残念ながら補欠となった。このため、幹事会では現状をどう評価し、今後どのように対応すべきを議論した。一番の問題は、推薦決定に関わる資料が公開されず、協議さえ不可能なスケジュールのなかで、完全連記制による投票が行われ、しかも過半数をとらないと当選できない仕組みにあることが指摘された。そこで、今後は当日、議長から引き出した約束をいかして、経済政策研連の場で、選挙制度の改善について議論するとともに、学術会議事務局に対しても、こうした問題を改めて指摘し、批判する必要があろうということになった。そこで、加藤代表幹事が、今回の推薦人および前回の推薦人と協議し、意見書をとりまとめることになった。
5.国際学会への加盟について国際交流委員の栗田幹事から、ヨーロッパ社会保障学会とヨーロッパ労働経済学会に社会政策学会として、団体加盟したことが報告された。また、これを受けて、ヨーロッパ社会保障学会のヴァン・ランゲンドンク氏から、社会政策学会の入会を歓迎する旨の挨拶を受けた。
(社会政策学会本部事務局記)
〔2007年5月12日掲載〕
《社会政策学会年報》第39集『現代日本のホワイトカラー』(御茶の水書房、1995年6月刊)による。