『社会政策学会年報』第38集 学会記事
一 大会関係
第八六回大会(拓殖大学担当、一九九三年六月五日〔土〕〜六日〔日〕開催)
【共通論題】「日本における外国人労働者問題」
I 現代の国際労働移動と日本 文教大学 森田桐郎
II 外国人労働者問題の歴史的位相 東京大学 森 建資
III 日本の労務管理と日系人労働者―自動車部品メーカーのケース・スタディ― 日本福祉大学 浅生卯一
IV 日本の労働市場におけるアジア女性労働者問題 津田塾大学 菊地京子
V 在日韓国・朝鮮人の諸権利闘争の変遷からみる在日における「生き方」論の展開 川崎市ふれあい館 重度
VI 外国人労働者の人権擁護問題 一橋大学 田中 宏
【共通論題総括討論】
座長 埼玉大学 戸塚秀夫
【分科会】
《第一分科会》「今日の医療保障と医療労働問題」
座長 福島大学 相沢与一
I 診察報酬による医療の誘導―看護婦不足・中小病院倒産のメカニズム― 国民医療研究所 大山正夫
II 今日の医療供給体制―「臨調・行革」下の構造的改編の到着点と問題点― 東京都立大学 日野秀逸
III 健康権保障と医療・看護労働 金沢大学 井上英夫
《第二分科会》「EC統合と労使関係」
座長 京都大学 菊池光造
I EC統合とイギリス労働組合戦略 山形大学 小笠原浩一
II ドイツの労使体制と統一・統合のインパクト 京都大学 久本憲夫
III EC統合とイタリア労働組合運動 群馬大学 斉藤隆夫
《第三分科会》自由論題(1)
座長 拓殖大学 小滝 聡
I ベン・H・ウィリアムズ―IWWの哲学者― 市邨学園短期大学 久田俊夫
II 一九八○年代のイギリス労使関係の変化―団体交渉制度を中心として― 岡山商科大学 田口典男
III ドイツ大企業―歴史的に見たその「内部化」と「社会化」― 筑波大学 田中洋子
IV NTTの労使関係 日本大学 山中敏裕
《第四分科会》自由論題(2)
座長 専修大学 西岡幸泰
I サッチャー政権下のイギリス・ナショナル・ヘルス・サービス 龍谷大学 松渓憲雄
II 家計(収入)構造の国際比較―福祉国家のミクロ分析との関連で― 大阪産業大学 埋橋孝文
III 社会福祉施設の導入と伝播―先行要件仮設と伝播仮設の統合と検証― 明治大学短期大学 塚原康博
IV 看護職員の需給と労働条件 国立医療・病院管理研究所 川添善弘
《第五分科会》自由論題(3)
座長 駒沢大学 小林英夫
I 大阪在住在日韓国・朝鮮人の労働・生活の現状と政策的課題―社会経済的基盤の脆弱性と「落層」過程の要因分析を通じて― 大阪府立大学 庄谷怜子・中山 徹
II インドネシアにおける小営業と賃労働―西ジャワの農村織布業の村における事例研究― アジア経済研究所 水野広祐
III スペインにおける外国人労働者と外国人労働者としてのスペイン人―農業部門と非農業部門の実態比較を中心として― 拓殖大学 中川 功
【第八七回研究大会】(九州部会主催 熊本商科大学担当、一九九三年一一月六日(土)〜七日(日)開催
【共通論題】日本型企業社会と社会政策
I 日本型企業社会と社会政策の課題 佐賀大学 中原弘二
II 日本型企業社会と家族問題 名古屋女子短期大学 安川悦子
III 大企業の雇用・賃金管理とその今日的特質 国学院大学 小越洋之助
IV 生産分業構造と中小企業の雇用 障害者職業総合センター 工藤 正
V 過労死問題の実態 九州社会医学研究所 田村昭彦
VI 国民生活と労働組合の機能 立命舘大学 藤原壮介
VII 日本型企業社会と市場の論理 岡山大学 稲葉振一郎
VIII 日本型企業社会と日本人の生活 中京大学 三戸 公
【総括討論】
共通論題 座長 日本大学 牧野富夫 大分大学 清山卓郎
主討論者 札幌大学 平尾武久 福島大学 相沢與一 筑波大学 田中洋子 大阪経済法科大学 能塚正義
二 部会関係
◇北海道部会
日時 一九九三年一〇月二三日(土)午後一時〜五時
場所 北海道大学経済学部会議室
出席者 一二名
【報告】
極東ロシアの労働者の労働と生活への態度について アナトリー・シュクールキン(ロシア科学アカデミー極東支部経済研究所)
(北海道大学 荒又重雄記)
◇東北部会
日時 一九九三年七月二八日(水)午後二時〜五時
場所 山形大学人文学部
出席者 九名
【報告】
I 高齢者の生活実態からみた社会保障・社会政策の課題 会津大学 佐藤嘉夫
II 退職過程の国際比較 山形大学 木村武司
部会終了後、有志で懇親会を持った。
(山形大学 近藤公嗣記)
◇関東部会
第四九回関東部会を以下の要領で開催。変動激しいドイツの政策の歴史と現状の報告ということで、活発な会合となった。
日時 一九九三年七月三日(土)
場所 駒澤大学大学会館
出席者 二〇名
【報告】
I ナチスドイツにおける外国人労働者政策 慶應義塾大学 矢野 久
II 試練に立つ現代ドイツの労働市場政策 中央大学 松丸和夫
(駒澤大学 三井逸友記)
◇関西部会
第五六回関西部会を左記の要領で開催。現時的な問題をめぐって活発な質疑と討論が行なわれた。
日時 一二月四日(土)午後十時半〜午後四時
場所 同志杜大学(今出川)光塩館地下会議室
出席者 二九名
【報告】
I 「派遣労働とサービス労働」 同志社大学 飯田哲文
座長 大阪経済大学 朝日吉太郎
II テーマ…今日の福祉国家と雇用・失業問題
「イギリスにおける失業問題をめぐって」 日本福祉大学 大木一訓
主討論者 立命舘大学 三好正巳
座長 静岡大学 三富紀敬
(立命舘大学 藤原壮介記)
◇中国・四国部会
日時 一九九三年七月三日(土)午後一時〜五時半
場所 国際学術交流センター(吉備国際大学)
出席者 一三名
【報告】
I 労働問題とドイツ・カトリシズム―社会回勅『レールム・ノヴァルム』一〇〇周年に寄せて― 山口大学 増田正勝
II 労働力の商品化とその止揚 吉備国際大学 宮田千蔵
III 社会政策論争について 吉備国際大学 松井栄一
(吉備国際大学 宮田千蔵記)
◇九州部会
第五七回研究会
日時 一九九三年九月四日(土)午後一時半〜五時
場所 佐賀大学経済学部第一会議室
出席者 一三名
【報告】
I 生産力構造論からみたサービス経済化 九州大学 久野国夫
II リストラクチュアリングの下での雇用構造の変化と労働組合の対応―電機産業の場合― 大分大学 阿部 誠
第五八回研究会
日時 一九九四年二月一九日(土)午後一時〜五時
場所 北九州大学 北九州産業社会研究所六号館会議室
出席者 一七名
【報告】
I 「少子社会」化と社会福祉・女性労働力政策 熊本短期大学 橋本宏子
II ドイツ(西)における女性の就業再開と職業資格制度 九州大学大学院 長谷川伸子
(大分大学 阿部 誠記)
三 分科会関係
◇労働組合分科会
日時 一九九四年四月二三日(土)
場所 立教大学
【報告】
日本の労働組合の職場規制 埼玉大学 上井喜彦
(立教大学 井上雅雄記)
◇生活問題・社会保障合同分科会
報告者に敬称のあるのは非会員にお願いした場合である。
日時 一九九三年四月二〇日(火)
場所 上智大学
【報告】
再構築に向かう日本の社会保障制度 流通経済大学 田多英範
日時 一九九三年七月一七日(土)
場所 上智大学
【報告】
ドイツにおける社会保障改革とその影響―一九九〇年三月〜一九九三年三月― 前在独日本大使館一等書記官松本勝明氏
日時 一九九四年三月二六日(土)
場所 上智大学
【報告】
川崎市の老人クラブの現状分析 上智大学 松崎久米太郎
(上智大学 松崎久米太郎記)
◇福祉問題分科会
第二九回研究会
日時 一九九三年一〇月二三日(土)午後一時三〇分〜四時三〇分
場所 佛教大学
出席者 三〇名
【報告】
I スウェーデンの連帯的福祉国家の形成―年金制度と社会民主党の役割を中心に― 神戸学院大学 樫原 朗
II スウェーデンの医療・福祉の最新事情―アツカ診療所とダーレンス・サービスハウスの視察から― 立命舘大学 加藤薗子
(佛教大学 浜岡政好記)
四 大会総会記録
第八六回大会総会
日時 一九九三年六月五日(土)午後五時四〇分〜六時
場所 拓殖大学文京キャンパス 茗荷谷ホール
出席者数 一五六名
議長 島崎晴哉会員
【協議事項】
1 一九九二年度一般会計決算書、及び一九九二年度社会政策学会年報代特別会計決算承認の件
加藤佑治代表幹事より『社会政策学第八六回大会総会資料』に基づき説明がなされ、佐口卓監事より監査結果の報告があり、全会一致で承認された。
2 一九九三年度一般会計予算案承認の件
代表監事より右同資料により説明がなされ全会一致で承認された。なお右予算案支出項目にある「経済学会連合分担金」については、今年度の値上げが見送られたため、五〇〇〇〇円を三〇〇〇〇円に訂正し、差額の二〇〇〇〇円を次年度繰越金に加えたいとの報告が加藤代表幹事からあり承認された。
【報告事項】
1 学術会議第一六期会員候補者選任の件
加藤代表幹事より、第一六期会員推薦の日程が明らかになったので、候補者選任の方法について広く会員から意見を募りながら、秋の大会時に臨時総会を開いて推薦者を決定したい旨報告された。
2 経済学会連合評議員会報告
石畑良太郎幹事から、経済学会連合では本年度も国際会議派遣補助、外国人学者招聘滞日補助、学会会合費補助が行なわれること、年内に国際シンポジウムが「貧困」をテーマに開催されること、連合の分担金額が来年度から三万五〇〇〇円に値上げされることになったことなどが報告された。
3 国際交流の推進について
栗田健国際交流小委員会委員長から、国際交流を進めるには国際学会に団体加盟することが最善であるが、これまでのところ、それにふさわしい国際学会が見つかっていないので積極的に推薦してほしい。また国際交流を行なうためにはセンターが必要であるが、現在までのところそれを引き受けてくれる機関が見つかっていないので、今後全員の皆さんの協力をお願いしたいとの報告がなされた。
4 次回研究大会および大会について
秋の第八七回研究大会は「日本型企業社会と社会政策」を共通論題として、一一月六日(土)〜七日(日)に熊本商科大学において開催されること、また第八八回大会は埼玉大学で開催されることになったことが、加藤代表幹事から報告された。
また翌日の六月六日には、当日昼の幹事会の決定にもとづいて下記のような報告がなされた。
1 第八八回大会の共通論題ならびにテーマ設定分科のテーマについて
埼玉大学で開催される第八八回大会の共通論題は、「現代日本のホワイトカラー」となったこと、またテーマ設定分科会としては「アジアの労使関係、労働問題」や「年金と高齢者雇用」などが候補としてあげられたことが代表幹事から報告された。
2 日本学術会議会員選出のあり方について
下山房雄幹事から、日本学術会議の会員選挙のあり方が完全連記制でおこなわれているために談合によって多数を含めた学会のメンバーしか選出されず、少数の学会の意思が全く反映されていないので、会長宛に改善要望書を提出することになったことが報告された。
3 新入会員について
五月二二日の幹事会で三名、総会時の幹事会で九名の方々の入会が承認されたことまたこの日現在での会員数は八五二名であることが代表幹事から報告された。
第八七回臨時総会
日時 一九九三年一一月六日(土)午後五時〜六時
場所 熊本商科大学一二館一二二一教室
出席者数 一五〇名
議長 島崎晴哉会員
【協議事項】
1 日本学術会議第一六期会員の推薦の件について
加藤代表幹事より、これまでの経過を踏まえ栗田健幹事を候補者に推薦したいとの提案がなされ了承された。なお、推薦人は荒又重雄、加藤佑治、戸塚秀夫の三名の幹事に幹事会から依頼したとの報告があった。
2 名誉会員の推薦について
加藤代表幹事より江口英一(中央大学)坂寄俊雄(日本福祉大学)の両会員を名誉会員に推薦したいとの提案がなされ、承認された。
3 国際交流小委員会からの提案について
委員長の栗田幹事から EISS(European Institute of Social Security)およびEALE(European Association of Labour Economists)に団体加盟したいとの提案があり、了承された。今後、団体加盟した場合の権利・義務を両団体に照会し、特に問題がなければ来年度中に加入手続きを完了させる予定である。
なお、そのほか下記のような報告がなされた。
1 日本学術会議への選挙制度の改善に関する申し入れについて
代表幹事から配布された総会資料にもとづきこの間の経過に関して説明があり、今後とも、完全連記制によって少数意見が排除されるような選挙制度の改善のために努力していきたいとの決意が表明されました。
2 経済政策研連委員からの報告
栗田研連委員から第七回シンポジウムについて報告がなされた。
また翌日の一一月七日は、当日の幹事会の決定にもとづいて大会出席の会員に対し代表幹事から下記のような報告がなされた。
1 「学会賞」の設置について
この間幹事会で「学会賞」の設置について議論してきましたが、幹事会では設けることで合意をみた。ただし、選考委員会の構成等についてつめなければならない点が残されているので、それらを解決した上で次回の総会に正式に提案する予定である。
2 会則の整備について
会則に関する見解事項や申し合わせが相当数にのぼっているので、この機会に整理し、あわせて問題となるような事項についても改正作業を進めることになった。
3 次期本部校について
次期の本部校は、法政大学で引き受けてもらうことになった。
4 第八八回大会の開催について
次回の第八八回大会は、「現代日本のホワイトカラー」を共通論題として、九四年五月二八日〜二九日にかけて埼玉大学で開催されることになった。
5 学会の現在会員数について
学会の現在会員数は八五九名であり、その後六日と七日の幹事会で三名の方々の入会が承認された。
〔学会本部(専修大学)事務局記〕
〔2007年5月12日掲載〕
《社会政策学会年報》第38集『日本における外国人労働者』(御茶の水書房、1994年6月刊)による。