社会政策学会史料集



『社会政策学会年報』第20集 学会記事

 一 大会関係


◇第五〇回大会(東京大学担当、七五年六月七・八日開催)

〈自由論題〉
I 米国における国民健康保険法未成立史 国立公衆衛生院 前田信雄
II 相互扶助から相互保険へ――イギリス友愛協会運動の発展―― 府立大阪女子大 中野保男
III 大企業の定年制と退職金制度の現状 国民生活センター 山崎 清
〈分科会〉
第一分科会
〈論題〉婦人労働の現代的課題
I わが国女子の就業および失業の構造 慶応義塾大学 佐野陽子
II 女性解放思想と女性労働 市邨学園短期大学 水田珠枝
III 婦人労働と「合理化」 群馬大学 嶋津千利世
第二分科会
〈論題〉危機における労働運動
I ロシア十月革命直前の労働組合 東京大学 辻 義昌
II 第二次大戦のイタリア労働運動――戦後労使関係の枠組形式をめぐる抗争―― 中央学院大学 河野 穣
III 戦後危機における労働争議――読売新聞争議(一九四五−四六年)――
第三分科会
〈論題〉現代の賃金政策と春闘の動向
I 春闘の変化と背景 日本福祉大学 小島健司
II 春闘体制と労働組合の力 慶応義塾大学 島田晴雄
III 当事者能力と交渉力 横浜国立大学 神代和欣
〈共通論題〉日本における労働問題研究の方法
I 「資本論」をめぐる若干の社会社会政策的問題 西南学院大学 木村 毅
II 国家独占資本主義下の労働問題研究の方法――ドイツ労資関係史を中心に―― 東北大学 徳永重良
III 労使関係研究の方法について――イギリス労資関係研究を素材として―― 岡山大学  菊池光造
IV 労働問題研究の方法――二五年間の動向と方法―― 東京大学 隅谷三喜男
総括討論 座長 中央大学 矢島悦太郎 一橋大学 大陽寺順一
 コメンテイター 鹿児島大学 藤島洋一 岡山大学 向井喜典 北海道大学 荒又重雄
 第一日目は自由論題と三つの分科会が四つの会場で同時開催され、自由論題分科会とも多数の人が出席し熱心な討論がおこなわれた。また第二日目も各コメンテイターの率直な意見のほかに、多くの発言者が立ちひじょうに活発な大会となった。総会では予算、決算、本部報告がおこなわれ承認された。なお席上一一名にのぼる新入会員があり、会員数六五五名に達したことが報告され本学会がますます発展しつつあることをしめしていた。懇親会に第一日の午後五時から山上会議所でなごやかにおこなわれた。



◇第五一回大会(立命館大学担当、七五年一〇月一八・一九日開催)

〈自由論題〉
I イギリス炭鉱争議(一九七三年〜七四年)の記録――所得政策と賃金相対性を中心として―― 中央大学 水野朝夫
II フランス労働組合運動の現動向 立命館大学 戸木田嘉久
III イタリア労働組合運動の一断面――工場評議会をめぐって―― 法政大学 高木督夫
〈共通論題〉地方自治と労働問題
I 国家独占資本主義と地方自治 京都大学 池上 淳
II 地方自治福祉政策 社会保障研究所 小沼 正
III 地方自治と労働者福祉運動 同志社大学 西村豁通
VI 農村における農民の貧困化と労農共闘――農村地域福祉ならびに農民福祉について―― 北海道大学 美土路達雄
V 地域的最低賃金の意義と限界 福島大学 相沢与一
VI 自治体と労働運動――愛媛県における現局面―― 愛媛大学 小林漢二
VII 労働者階級の主体形成と今日の地域・自治体問題 立命館大学 遠藤 晃
総括討論 座長 立命館大学 坂寄俊雄
 第一日目は午前中に自由論題、午後から共通論題の中の第三報告がおこなわれ、第二日目は、共通論題の第五、六、七報告と総括討論がおこなわれた。本大会では、自由論題でも、イギリス、フランス、イタリアと今日の国際労働運動の焦点になっている国々の報告がおこなわれただけに、第一報告から例年以上に多数の出席者を迎え活発な討論がおこなわれた。また共通論題も「地方自治と労働問題」という時宜を得たテーマであったこともあって、各地で当面している緊要な問題が出され熱心な討論が時間一杯までおこなわれた。
懇親会は第二日目の夜、立命館大学 衣笠学舎グリルで盛大におこなわれた。また大会翌日の一〇月二〇日には長田野工業団地の工場見学がおこなわれ、多数の会員が出席した。



 二 部会関係

◇北海道部会 
1 三月一五日 於、道総研会議室
 報告者 方波見雅夫会員
 テーマ 「社会化医療のソヴェト的形態と半健康への対応」
 出席者 一三名
2 八月一八日 於、道総研会議室
 報告者 山本克郎会員
 テーマ 「最近の年金訴訟について」
 出席者 一三名
3 八月二六日 於、道総研会議室
 報告者 方波見雅夫会員
 テーマ 「社会主義国と資本主義国の社会福祉のあり方――ソ連と北欧――」
 出席者 一三名
4  四月一六日(予定) 於、北大経済学部会議室
 報告者 平尾武久氏(札幌大)
 テーマ 「独占形成期のアメリカ鉄鋼業における労務管理」
  (北大・荒又記)

◇関東部会
1 日時 一九七五年一二月六日(土)
 場所 明治大学大学院
 テーマ 西欧における最近の労働事情
 報告者 工藤恒夫(中央大学)
 題名 「七〇年代のフランス社会保障――七四年『改革』と労働界の反撃――」
 報告者 兵藤 釗(東京大学)
 題名 「『社会契約』と産業民主主義」
 座長 島崎晴哉(中央大学)
2 日時 五月一二日(水)
 場所 明治大学大学院
 テーマ 東芝争議(一九四九年)の実証的研究
 報告者 山本潔(東京大学)
 コメント 栗木安延(専修大学)
 座長 高橋洸(明治大学)
  (明大・栗田記)

◇関西部会
第三七回関西部会
 日時 一九七五年四月二六日 午後一時
 場所 同志社大学 会館四〇一号室
 報告
 一 現代社会政策論の構想 立命館大 三好正已
 二 労働問題・社会政策研究の一視角 同志社大 西村豁通
 三 現代労働市場論の課題 大阪市大 吉村 励 
総括討論 座長 大阪市大 竹中恵美子
第三八回関西部会
 日時 一九七六年五月八日 午後一時
 場所 同志社大学 会館四〇一号室
 報告
 一 失業対策をめぐる理論的諸問題 日本福祉大 大木一訓
 二 社会保障論の現状と課題 関学大 大前朔郎
 三 最低賃金制論の現段階と問題点 京都大 前川嘉一
総括討論 座長 大阪市大 小川喜一
 (同志社大・西村記)

◇中国・四国部会
日時 一九七五年九月三日(土)、四日(日)
場所 高知市鷹匠苑
報告
 I 「経済社会の多元化と民主政治」 尾道短期大学 大西康雄
 II 「公益と私益」 高知大学 松井栄一
 III 「地方経済と労働問題」 愛媛大学 小林漢二
シンポジウム 「第五〇回大会の諸論議から」
 問題提起 岡山大学 向井喜典
 なお、九月三日夜の総会で中・四国部会としての「瀬戸内における産業開発と労働者生活」についての長期的な共同研究をおこなうことを申し合わせた。
 (岡山大・向井記)

◇九州部会
一九七五年度の研究会は次のとおり開催された。
第一六回研究会  七五年六月二八日 九州大学 鈴木滋「資本蓄積論への一視点――利潤率傾向的低下法則と技術進歩――」、鹿児島大学 仲村政文「労働論における若干の論点」(於九大)
第一七回研究会  七六年二月七日 八幡大学 清山卓郎「高蓄積・高成長政策の展開と帰結」(於西南大)
 出席者は各回とも一三、四名。右の二回以外にも研究会を予定していたが、国鉄ストで実施できなかった。次回は六月二六日九州産業大学で開催の予定。
  (西南学院大・木村記)


 

三 分科会関係

◇生活問題・社会保障合同分科会
 毎月おこなわれている例会の内容を紹介しておく。報告者に敬称のあるのは非会員にお願いした場合である。
 1 山谷調査について 中央大 江口英一(七五年四月一九日、上智大)
 2 家内労働の実状 東京都労働局 久保田 秀氏(七五年五月一七日、上智大)
 3 婦人労働の研究について 日大 小林 巧(七五年七月一二日、上智大)
 4 イギリスの経済危機下における社会保障の問題 慶応大 庭田範秋(七五年九月二〇日、上智大)
 5 出稼労働者 労研 藤本 武(七五年一二月一三日、上智大)
 6 イギリス資本主義と現代の貧困 慶応大 飯田 鼎(七六年一月一七日、上智大)
 7 地域と老人――高令者生活実態調査―― 社会保障研究所 高橋紘士氏(七六年二月二一日、光生館)
 8 最近における諸外国の労災補償の動向 日本女子大 佐藤 進(七六年三月二七日、上智大)
  (早大・佐口記)
◇労働組合分科会
 日時 一九七五年一一月二二日(土)
 場所 専修大学神田校舎
 報告者 飯田鼎(慶応大学)
 テーマ 「私の見たイギリス資本主義――労働党の政策にふれて――」
  (専大・加藤記)

◇福祉問題分科会
第四回研究会
 日時 一九七五年四月二六日 午前九時半
 場所 同志社大学会館四〇一号室
 報告
 一 高齢者問題対策における高齢者福祉事業の位置と性格 立命館大 遠藤 滋
 二 老齢者の職業と労働 (前)同志社大学 竹中和郎
第五回研究会
 日時 一九七六年五月八日 午前九時半
 場所 同志社大学会館四〇一号室
 報告
 一 「生活の社会化」に関する一考察 同志社女子大 佐々木佳代
 二 生活構造の変化と家計分析 京都府立大 成瀬龍夫
  (同志社大・西村記)

〔2006年1月2日掲載〕


《社会政策学会年報》第20集『労働問題研究の方法』(御茶の水書房、1976年5月刊)による。






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