『社会政策学会年報』第7集 学会記事
社会政策学会第一八回大会
社会政策学会第一八回大会は、一〇月三一日、一一月一日の両日、同志社大学でひらかれた。第一日は、自由論題で報告者はつぎの通りである。
「日本における戦時厚生事業の構造」 同志社大学 小倉襄二
「イギリス最低賃金制発展の一考察」一九〇九年法から一九一八年法へ 京都大学 前川嘉一
「戦後の就業構造」 経済企画庁 石崎唯雄
「日本の労務管理と労働運動」 慶応大学 野口 祐
「戦後農民運動の一論点」 法政大学 柏野晴夫
第二日の共通論題は、「中小企業の労働問題」で、報告者はつぎの通り。
「京都における伝統産業の労働問題」 京都府労経研 中野保夫 京都大学 与田 柾
「中小企業労働者の賃金と生活」 北海道労研 小華和洋
「農民労働力と中小企業労働力」 大阪市大 平 実
「中小企業の経営分析と賃金斗争の課題」 同志社大学 吉武堯右
「中小企業の構造と労働問題」 慶応大学 伊東岱吉
報告終了後、山中篤太郎氏を座長に総括討論が行われ、質問は伊東岱吉氏に集中し、活発な討議が夜までつづけられた。報告者のテーマのしぼり方に種々の差があったせいか、議論がそれほど深められなかったことは残念であった。
なお総会は三一日に慶応大学藤林敬三氏の議長のもとでひらかれたが、そのさい幹事会から警職法改正反対のため、学会有志の名で声明を出したい旨提案があり、これにたいして学会決議とすべきだという動議が出されたため一時論議が紛糾した。しかし結局原案通り可決され、また学会運営の細則をつくることが決定された。
総会後都ホテルで懇親会がひらかれ、蜷川京都府知事等の出席もあってきわめて盛会であった。主催校同志社大学の大会運営は、間然するところのない立派なものであった。
〔2006年1月2日掲載〕
《社会政策学会年報》第7集『日本の失業』(有斐閣、1959年10月刊)による。