『社会政策学会年報』第3集 学会記事
二七年度
第五回学会大会
第一日 六月六日 於横浜市立大学経済研究所
総会
研究報告
(1) 横浜下層社会の研究 横浜市大 早瀬利堆
(2) 林業労働者の生活水準 労研 藤本 武
(3) 農村における窮乏 法政大 柏野晴夫
(4) 漁村における窮乏 生活問題研究所 籠山 京
懇親会(於横浜市役所)
第二日 六月七日 於法政大学
研究報告
(1) 団体交渉と労資関係−労働組合賃金理論の一考察− 関東学院大学 桜林 誠
(2) 未解放部落の存在と日本の社会経済機構 和歌山大 南 清彦
(3) 労組の動向と組合法の改正 国学院大 北岡寿逸
(4) 労働法改正について 東京大 有泉 亨
(5) 春季労働攻勢における賃金問題 慶應大 黒川俊雄
なお、破防法案にかんする学会懇談会が第一日夜および第二日学会終了後の二回にわたって開かれた。その結果、つぎのごとき記録が在京幹事会によって作成された。
破防法案に関する懇談会記録
本学会第五回大会に際し、会員数氏によって総会に於て破防法案反対に関する何らかの意志表示がなさるべきことが提案されたが、この提案を総会でなく会員懇談会に於て論議する事とし、学会終了後数時間に亙り多数の会員間で極めて熱心に論議が行われた。本学会の多数会員が破防法の制定に対し重大な関心を持ち、特にそれが、学問、思想の自由をおびやかすおそれあるものとして、それに反対する見解が多々のべられたので、本学会としては、右懇談会全員一致を以ってこの事実を学会の記録に止める事を申し合せた。
また、総会において労働組合分科会ならびに労資関係分科会の設立が承認された。これで既に設立した生活問題分科会に加えて三つの分科会がそれぞれ学会活動の一翼を担うこととなった。
第六回学会大会
第一日 十月三一日 於大阪府労働会館
研究報告
(1) いわゆる「生存権保障」の社会政策的意義について−特に現実制度の評価を中心として− 立教大 横山定雄
(2) 労使関係の諸問題
l 「労使関係」の体系化について 硫安工業会 小野恒雄
ll 地方労働委員会を通じて見た最近の労使関係 京都地労委 清瀧韶美
懇親会(於大阪府労働会館)
第二日 十一月一日 於神戸大学
研究報告
(1) アメリカの「合同労働党」小史 神戸大 山崎義三郎
(2) 英国団結禁止法−一七九九年−について 高崎短大 内藤則邦
(3) 英国初期工場法について 大阪市大 小川喜一
(4) 産業社会学の一課題 同志社大 難波紋吉
(5) 労働組合と社会保障
l 失業保険をめぐる諸問題 国民経済研 松尾 均
ll 社会保険の発展と労働運動 労研 坂寄俊雄
lll 労働組合と社会保障 大阪市大 近藤文二
懇親会(於神戸大学)
なお、第一日の午後の報告と並行して毎日新聞社後援による公開講演会が毎日会館で行われた。その内容はつぎのごとくであった。
大河内一男「労働組合における日本的なもの」
藤林敬三「ソシアルダンピング再論」
近藤文二「社会保障と再軍備」
二八年度
第七回学会大会
第一日 六月五日 於早稲田大学
自由論題
(1) 日本社会保険の一断面 早稲田大 佐口 卓
(2) 潜在失業の諸形態 中央大 宮出秀雄
総会
共通論題「日本の賃労働における封建性」
(1) 労働市場における封建制 東京大 隅谷三喜男 江口英一 松本達郎
懇親会(於大隈会館)
第二日 六月六日 於立教大学
共通論題
(2) 労働者の組合及び経営に関する帰属意識の測定 東京大 高橋 徹 北川隆吉
(3) 労使関係における日本的性格 慶應大 森 五郎
(4) 日本の低賃金と封建性 労研 藤本 武
(5) 日本の労働組合と封建性 高崎短大 高橋 洸
綜括討論 座長 東京大 大河内一男
なお、六月四日午後から労働法学研究所後援により、東京商工会議所ホールにおいて、大内兵衛、北澤新次郎、藤林敬三三氏の公開講演を行った。
第八回学会大会
第一日 一〇月一六日 於東北大学
共通論題「産業合理化と労働問題」
(1) 日本の今次合理化の背景−国際的軍拡分担の変更− 静岡大 角田 豊
(2) 合理化と失業問題 国学院大 北岡寿逸
(3) 綿紡における合理化と女子労働者に及ぼす影響について 明治大 田辺照子
(4) 運送業における労働の生産性と合理化の問題 日通研究所 佐々木英夫
(5) 紙パルプ産業における合理化 慶應大 黒川俊雄
(6) 炭鉱における産業合理化 法政大 舟橋尚道
(7) 炭鉱業における人員整理 九州大 正田誠一
(8) 北海道における産業合理化の進行 北海道大 三好宏一
懇親会
第二日 一〇月一七日
自由論題
(1) 賃金政策論史の一齣−マルサス賃金論を中心として− 東北大 篠笥憲爾
(2) 北海道代表的大工場における合理化と労働者供給業の諸問題 北海道道研 和泉雄三
(3) 農業の合理化と農村労働力の動向 中央大 宮出秀雄
総括討論(共通論題) 座長 一橋大 山中篤太郎
二九年度
第九回学会大会
第一日 七月一八日 於北海道大学
挨拶 高岡熊雄
自由論題
(1) アメリカ労働運動と人口問題 慶應大 川田 寿
(2) わが国社会保障とILOの最低基準 早稲田大 末高 信
共通論題「過剰人口と労働問題」
(1) 炭鉱地帯における相対的過剰人口 北海道労研 中村順子 渡辺貞雄 徳田欣次
(2) 漁村における過剰人口−出稼労働を中心として− 北海道庁水産部 中井 昭
(3) 山村における過剰人口問題−和歌山県における地主制との関係において− 和歌山大 南 清彦
懇親会(於札幌ニューグランド・ホテル)
第二日 七月一九日
(4) 相対的過剰人口の一環としての家内労働の諸問題 慶應大 野口 祐
(5) 過剰人口の一形態としての中小企業 東京女大 松本達郎
(6) 農村過剰人口と労働力の性格 労研 高木督夫
(7) 戦後日本の失業問題 大阪社大 山本開作 同志社大 西村豁通 大阪市大 儀我壮一郎
(8) 過剰人口の本質について 中央大 南 亮三郎
綜括討論 座長 同志社大 住谷悦治
総会
第二日夜には札幌商工会議所講堂においてつぎのごとき公開講演があった。
藤林敬三「現下の労資関係」
山中篤太郎「中小企業の諸問題」
また、第二日総会において、原水爆使用禁止にたいする有志の反対署名が行われた。第三日の七月二十日は終日にわたり、ニッポンビール、雪印乳業、帝国製麻等の工場見学があり、夕刻より月寒種羊場において懇親会が行われた。
第十回学会大会
第一日 十一月八日 於関西学院大学
共通論題「労働組合の経営参加」
(1) 経営参加に関するフェビアンの見解 大阪社大 音田正己
(2) 西ドイツにおける経営参加 大阪市大 吉村 励
(3) 中小企業と経営参加 早稲田大 永山武夫 早稲田大 西宮輝明
(4) 新労働政策の検討 専修大 大友福夫
綜括討論 座長 大阪大 平田隆夫
第二日 十一月九日
自由論題
(1) 企業別組合論の再検討−労働組合における型の論議をめぐって− 京都大 向井喜典
(2) 前近代的争議の近代的意義−近江絹糸争議を中心として− 神戸地労 川口義明
(3) 中学校卒業者の労働市場 東京大 関谷耕一 東京大 高梨 昌
(4) 資本主義英国の直面する諸問題−とくに植民地問題について− 慶應大 飯田 鼎
(5) 年金制度の経済学 総理府恩給局 松本浩太郎
懇親会(於西宮公民館)
(佐口〔卓〕記)
〔2006年1月2日掲載〕
《社会政策学会年報》第3集『産業合理化と労働問題』(有斐閣、1956年6月刊)による。