社会政策学会史料集



『社会政策学会誌』第1号 学会記事(1998年度)

1 大会関係

 例年通り,春・秋2回の大会(第96回大会と第97回大会)を開催した。大会プログラムを以下に掲げる。

第96回大会(日本大学経済学部担当:責任者 牧野富夫会員)
1998年6月6日(土)〜7日(日)
【共通論題】日雇労働者・ホームレスと現代日本(コーディネーター:玉井金五)
1.課題と視角 岩田正美(日本女子大学)
2.日雇労働者の高齢化と労働市場−大阪に則して 福原宏幸(大阪市立大学)・中山 徹(大阪府立大学)
3.建設就業構造の変化と日雇・季節労働者 椎名 恒(北海道大学)
4.ホームレスと生活保護行政 吉村臨兵(奈良産業大学)
5.外国人労働者の流入と日本の不安定層 井口 泰(関西学院大学)
6.フランスの「ホームレス問題」 都留民子(広島女子大学)
【総括討論】
座長 庄谷怜子(神戸女子大学)
コメンテイター 下田平裕身(日本女子大学)・山森 亮(京都大学大学院) 黒田慶子(立命館大学)・松丸和夫(中央大学)
【テーマ別分科会】
《第1分科会》戦後日本労使関係史像−近年の成果をめぐって
 座長 佐口和郎(東京大学)
1.経営史研究と労働史研究−戦後の日本を対象として 橘川武郎(東京大学)
2.社会福祉史研究からみた戦後労働問題研究 菅沼 隆(立教大学)
3.近年の労使関係研究が見落としたもの−イタリア労働組合史の観点から 斉藤隆夫(群馬大学)
《第2分科会》福祉国家とジェンダー
座長 木本喜美子
1.福祉国家のジェンダー化−80年代以降の研究動向 深澤和子(阪南大学)
2.日本型福祉国家とジェンダー 神野直彦 (東京大学)
コメンテイター 大沢真理(東京大学)
《第3分科会》ワンペアレント・ファミリーの家計・生活・意識
座長 田中裕美子(下関市立大学)
1.生活世界の内側−生活意識を中心にして 埋橋孝文(大阪産業大学)
2.性別分業の破綻−夫の稼ぎ手役割の問題が妻の生活と意識に及ぼす影響 木村清美(大阪産業大学)
3.経済生活 色川卓男(静岡大学)・馬場康彦(日本福祉大学)
4.養育費受け取りの実態 濱本知寿香(家計経済研究所)
コメンテイター 大塩まゆみ(滋賀文化短期大学)
《第4分科会》非定型労働の今日的問題 永山利和(日本大学)
1.家内労働者・在宅テレワーカー・インデペンデントコントラクター 神尾京子(家内労働研究会)
2.わが国における派遣労働問題 長井偉訓(愛媛大学)
3.アメリカにおける非定型労働問題の現状 仲野組子(同志社大学)
【自由論題分科会】
《第1会場〉ジェンダー
1.福祉国家の規範理論とジェンダー 山森 亮(京都大学大学院)
2.官製フェミニズムの到達と限界−フィンランドの女性労働の特徴と課題に関する一考察 高橋陸子(宮崎国際大学)
《第2会場〉高齢問題
1.医療支出を中心とした老後生計費に関する一考察−世帯主年齢階級別消費支出の分析によるアプローチ 山本克也(早稲田大学大学院)
2.年金政策の負担・給付システムをめぐる諸論点の検討−第3号被保険者問題を事例として 田中きよむ(高知大学)
3.大都市における高齢者の経済的地位について−公的年金・収入・就業・子との同居を中心に 塚原康博(明治大学)
《第3会場〉医療・福祉
1.日本における医師の配置・移動構造−医局制度の分析を通じて 猪飼周平(東京大学大学院)
2.看護・介護職員養成政策の問題点と課題 高木和美(サンビレッジ国際福祉専門学校)
3.保健・医療・福祉複合体−全国調査に基づく評価と将来予測 二木 立(日本福祉大学)
《第4会場〉労働市場
1.90年代の新規大卒労働市場−学校歴格差と企業の採用行動 松尾孝一(京都大学大学院)
2.日雇労働者と社会保障−釜ヶ崎における展開と現状 上畑恵宣(高野山大学)
《第5会場〉諸外国の社会政策
1.中国における社会保険制度の史的展開(1961〜81年) 焦培欣(中央大学大学院)
2.1990年代以降のポスト冷戦と情報ネットワーク化における労資使関係−アメリカ労資関係を中心として 杉山 清(名城大学)
3.ビスマルク社会保険の労働者階級への影響 1885〜1914年 小椰治宣(日本大学)


第97回大会(岐阜経済大学担当:責任者 木村隆之会員)
1998年10月24日(土)〜25(日)
【共通論題】高齢社会と社会政策
1.少子・高齢社会のインパクトと生活保障政策の再構築 小沢修司(京都府立大学)
2.高齢社会と日本型社会保障財政システムの転換 木村武司(山形大学)
3.高齢社会の医療・介護保障システム 里見賢治(大阪府立大学)
4.「高齢者雇用問題」と高齢社会の就業システム 阿部 誠(大分大学)
5.高齢社会にむけての地域社会づくり 富沢賢治(一橋大学)
6.高齢化社会論と社会政策 佐藤 進(新潟青陵女子短期大学)
【総括討論】
座長 三富紀敬(静岡大学) 金持伸子(流通科学大学)
主討論者 武田 宏(大阪府立大学) 松丸和夫(中央大学) 柳沢敏勝(明治大学) 大谷 強(関西学院大学)
【書評分科会】
《福祉国家の変貌と課題》 座長:井岡 勉(同志社大学)
渋谷博史・井村進哉・中浜隆(編)『日米の福祉国家システム−年金・医療・住宅・地域−』(日本評論社) 曽 妙慧(東北大学)
岡沢憲芙・宮本太郎(編)『比較福祉国家論−揺らぎとオルタナティブ−』(法律文化社) 埋橋孝文(大阪産業大学)
A.グールド/高島進・二文字理明・山根祥雄(訳)『福祉国家はどこへいくのか−日本・イギリス・スウェーデン−』(ミネルヴァ書房) 柏野健三(岡山商科大学)
《介護問題の地域システム化》 座長:坂脇昭吉(鹿児島大学)
三塚武男『生活問題と地域福祉−ライフの視点から−』(ミネルヴァ書房) 芝田英昭(立命館大学)
社会保障研究所(編)『社会福祉における市民参加』(東京大学出版会) 岡崎祐司(佛教大学)
八代尚宏(編)『高齢化社会の生活保障システム』(東京大学出版会) 岩見恭子(種智院大学)
《日本型労使関係とその課題》 座長:能塚正義(大阪経済法科大学)
古郡鞆子『非正規労働の経済分析』(東洋経済新報社) 白井邦彦(釧路公立大学)
早川征一郎『国家公務員の昇進・キャリア形成』(日本評論社) 丸谷 肇(鹿児島経済大学)
中馬宏之・駿河輝和『雇用慣行の変化と女性労働』(東京大学出版会) 石田好江(愛知淑徳大学)
《諸外国の労働問題》 座長:森 廣正(法政大学)
下山房雄『現代世界と労働運動−日本とフランス−』(御茶の水書房) 深澤 敦(立命館大学)
井口 泰『国際的な人の移動と労働市場−経済のグローバル化の影響−』(日本労働研究機構) 村下 博(大阪経済法科大学)
海野 博『賃金の国際比較と労働問題』(ミネルヴァ書房) 川辺平八郎(東京経済大学)
《総合生活保障》 座長:山本 隆(岡山県立大学)
伊藤周平『介護保険−その実像と問題点−』(青木書店) 木村 敦(種智院大学)
中央大学経済研究所(編)『社会保障と生活最低限−国際動向を踏まえて−』(中央大学出版部) 高林秀明(広島女子大学)
馬場康彦『現代生活経済論−真の「豊かさ』とは何か−』(ミネルヴァ書房) 中井健一(岐阜大学)
《労働史》 座長:関口定一(中央大学)
樋口映美『アメリカ黒人と北部産業−戦間期における人種意識の形成−』(彩流社) 上野継義(京都産業大学)
市原 博『炭鉱の労働社会史−日本の伝統的労働・社会秩序と管理−』(多賀出版) 平井陽一(法政大学)
乗杉澄夫『ヴィルヘルム帝政期ドイツの労働争議と労使関係』(ミネルヴァ書房) 大塚 忠(関西大学)



2 総会関係

第96回大会総会記録と役員選挙結果
 日時 1998年6月6日(土)
 場所 日本大学経済学部
 議長 荒又重雄会員
 参加者 約160名
 高田代表幹事から,学会改革プロジェクトチームの提案(幹事の任務分等),上井編集委員長による年報改革の提案がなされ,会計決算(島崎晴哉会計監査による監査済み)と予算案が審議・承認された。熊沢選考委員長から,学会賞選考経過と,西成田豊会員が学術賞を,石田光男会員と木村保茂会員が奨励賞を受賞された旨報告があった。名誉会員としては,小林巧会員と佐口卓会員が推挙された(佐口会員は辞退)。
 その後,選挙管理委員会によって役員の選挙が行われた(なお総会の場での選挙は今期が最後で,次期からは郵送投票となる)。翌6月7日,遠藤公嗣選挙監理委員長から会則第12条に基づき,16名が選挙選出幹事として,会計監査には島崎晴哉会員が選出された旨報告された。(選挙後,高田前代表幹事による臨時召集で,選挙選出幹事による推薦幹事選出幹事会が開催され,8名が幹事として推薦された。互選により伊藤セツ幹事が代表幹事に選出され,事務局本部を昭和女子大学女性文化研究所におくことが決定された。)
東北・北海道(2):相澤與一,荒又重雄
関東・甲信越(8):伊藤セツ,遠藤公嗣,大沢真理,加藤佑治,上井喜彦,佐口和郎,高田一夫,二村一夫
東海(1):三富紀敬(この地区は新設された)
関西・北陸(3):石田光男,熊沢 誠,玉井金五
九州・中国四国(2):下山房雄,中原弘二
推薦幹事 岩田正美,埋橋孝文,黒田兼一,坂脇昭吉,関口定一,中川清,浜岡政好,森ます美
   (50音順)

第97回大会臨時総会記録
 年月 1998年10月24日
 場所 岐阜経済大学6号館
 議長 二村一夫
 参加者 約100名
議題1 年報と叢書統一問題
 1999年度から『社会政策学会年報』と『社会政策叢書』を統合し,『社会政策学会誌』として年2回刊行する。『学会誌』の表紙は,『社会政策学会誌 第1号(社会政策学会年報通巻第43集)』,『社会政策学会誌第2号(社会政策叢書通巻第22号)』のように表記する。学会誌の編集と刊行のために,従来までの年報編集委員会と叢書編集委員会を統合して「社会政策学会誌編集委員会」をおく。なお,編集実務の機能面を考慮して,奇数号を担当する第1編集委員会,偶数号を担当する第2編集委員会をおくこととなった。
議題2 幹事・会計監査選出方法の変更を含む会則改正・会費規程改正
 幹事・会計監査は郵送選挙によって選出されること,会費は10000円(院生は7000)とすることを含む会則改正が承認された。



3 第4回社会政策学会賞受賞者・作品

1997年度第4回社会政策学会賞選考委員会委員長 熊沢誠
 委員:山本潔,相澤與一,西岡幸泰,岩田正美
 学術賞:西成田豊『在日韓国人の「世界」と「帝国」国家』(東京大学出版会)
 奨励賞:石田光男「工場の能率管理と作業組織」(石田光男他三氏『日本のリーン生産方式』所収)(中央経済社) 木村保茂『現代日本の建設労働問題』(学文社)



4  その他

 当学会が1994年に団体加盟したことになっている二つの学会,ヨーロッパ社会保障学会とヨーロッパ労働経済学会の1998年度大会に,代表幹事他数名の会員が参加した。
  (学会本部事務局記)

〔2007年5月12日掲載〕


《社会政策学会誌》第1号〔『社会政策学会年報』第43集〕『日雇労働者・ホームレスと現代日本』(御茶の水書房、1999年7月刊)による。






Wallpaper Design ©
 壁紙職人Umac