社会政策学会大会案内






社会政策学会第105回大会プログラム





日 時 2002年10月19日(土)、20日(日)

会 場 中京大学名古屋キャンパス


事務局 中京大学経営学部 猿田正樹研究室
〒466-8666 名古屋市昭和区八事本町101-2
tel:052-832-2151(内線:6308)
fax:052-835-7197

大会参加費 3000円(ただし、大学院生は2000円)。なお、非会員も同額の参加費を払えば傍聴できます。

大会報告要旨集

中京大学ホームページ    交通案内




第1日   2002年10月19日(土)



書評分科会

I  〈社会・経済問題としてのジェンダー〉

座長 石田好江(愛知淑徳大学)

1) 竹中恵美子編『労働とジェンダー』(叢書「現代の経済・社会とジェンダー」第2巻)明石書店
  田中 裕美子(下関市立大学)

2) 伊豫谷登士翁編『経済のグローバリゼーションとジェンダー』 (叢書「現代の経済・社会とジェンダー」第2巻)明石書店
  久保 文一(九州大学)

3) 室住真麻子『世代・ジェンダーからみた家計』法律文化社
  荒又 重雄(釧路公立大学)



II  〈現代日本の企業・労働〉

座長 下山房雄(下関市立大学)

4) 野村正實『知的熟練批判―小池和男における理論と実証』ミネルヴァ書房
  富田 義典(佐賀大学)

5) 上井・野村編『日本企業の理論と現実』ミネルヴァ書房
  野原 光(広島大学)

6) 鎌田耕一編『契約労働の研究―アウトソーシングの労働組合問題』多賀出版
  神尾 京子(家内労働研究会)



III  〈労働史の諸相〉

座長 二村一夫(法政大学)

7) 大森真紀『イギリス女性工場監督職の史的研究―性差と階級』慶應大出版会
  吉田 恵子(明治大学短期大学)

8) 高橋彦博『戦間期日本の社会研究センター―大原社研と協調会』柏書房
  木下 順(國學院大学)

9) 伊藤晃『日本労働組合評議会の研究―1920年代労働運動の光芒』社会評論社
  三宅 明正(千葉大学)



IV  〈家族における生活の営みと保障〉

座長 川島美保(都立短期大学)

10) 岩本康志編『社会福祉と家族の経済学』東洋経済新報社
  西村 智(関西学院大学)

11) 中田・杉本・森田『日米のシングルファーザーたち』ミネルヴァ書房
  湯沢 直美(立教大学)

12) 前田信彦『仕事と家庭生活の調和―日本・オランダ・アメリカの国際比較』労働研究機構
  三山 雅子(同志社大学)



V  〈各国の雇用諸関係〉

座長 乗杉澄夫(和歌山大学)

13) 篠田武司編『スウェーデンの労働と産業―転換期の模索』学文社
  今村 寛治(熊本学園大学)

14) 田中洋子『ドイツ企業社会の形成と変容―クルップ社における労働・生活・統治』ミネルヴァ書房
  関口 定一(中央大学)

15) 中窪裕也・池添弘邦『アメリカの非典型雇用―コンティンジェント労働者をめぐる諸問題』(海外調査シリーズNo.49)日本労働研究機構
  佐藤 飛鳥(金澤大学大学院)



Y 〈社会・労働の理論〉

座長 玉井金吾(大阪市立大学)

16) 池田 信『社会政策論の転換―本質必然主義から戦略関係主義へ』ミネルヴァ書房
  高田一夫(一橋大学)

17) 山崎 清『社会形成体と生活保障』 社会評論社
  相沢 与一(長野大学)

18) 鈴木和雄『労働過程論の展開』学文社
  京谷 栄二(長野大学)



自由論題

T 〈雇用管理〉

座長 山本興治(下関市立大学)

1) 「60歳台前半層の継続雇用制度」
   冨田安信(大阪府立大学経済学部) 

2) 「被差別部落の就業構造多様化と企業による採用管理の制度的ありようの関連
                      〜戦後から高度成長期を中心に〜」
   大西祥恵(大阪市立大学経済学研究科後期博士課程)



U 〈労働・社会運動史〉

座長 佐藤 眞(岩手大学)

3) 「日本の高度成長期における内職の実態〜大阪府を事例として〜」
   高野 剛(大阪市立大学大学院経済学研究科・前期博士課程在籍)

4) 「社会党改革論争と労働組合」
   岡田一郎(筑波大学大学院博士課程人文社会科学研究科)



V 〈社会福祉〉

座長 上掛利博(京都府立大学)

5) 「地域におけるホームレス支援施策の構造〜カーディフ(ウェールズ)を例に〜」
   岡本祥浩(中京大学商学部)

6) 「ワーカーズコレクティブによる高齢者介護労働の質〜雇用労働と比較して〜」
   小林治子(龍谷大学経済学部経済学研究科博士後期過程)

7) 「高齢者の在宅ターミナルケア〜社会システム化の条件〜」

   嶺 学(法政大学名誉教授、法政大学大原社会問題研究所名誉研究員)



W 〈社会保障〉

座長 菅沼 隆(立教大学)

8) 「国民皆年金体制の形成過程:日本型「ワークフェア」についての史的考察」
   大竹晴佳(一橋大学大学院社会学研究科博士課程)

9)「中国における医療提供体制の改革」
   楊 開宇(大阪市立大学大学院生活科学研究科後期博士課程)

10)「子どもに関する社会保障給付と税控除:子どもの貧困と不平等に対する影響」
   阿部 彩(国立社会保障・人口問題研究所)




X 〈社会政策〉

座長 阿部 誠(大分大学)

11) 「〈脱商品化〉概念の理論的検討」
   大北秀明(駒澤大学大学院経済学研究科経済学専攻博士後期課程2年次)

12) 「イギリス・高齢者対人社会サービスの現状と課題〜ベストバリューを中心に〜」
   山田亮一(大阪市立大学大学院生活科学研究科博士課程)

13) 「社会政策と社会意識」
   武川正吾(東京大学大学院人文社会系研究科)





第2日   2002年10月20日(日)



共通論題テーマ 「現代日本の失業」

座長 石田光男(同志社大学) ・ 大森真紀(早稲田大学)

報告
     I 「現代日本の失業と不安定就業」 伍賀一道(金沢大学)

    II 「世代対立としての失業問題」 玄田有史(東京大学)

    III「職業能力開発から雇用問題を考える」 久本憲夫(京都大学)

    IV 「〈失業対策〉の転換と今日の完全雇用政策」 大木一訓(日本福祉大学)

【共通論題の主旨】

  わが国における雇用・失業問題が激化してきている。とりわけ近年における極めて厳しい事態の現出という背景には、以前には見い出すことができなかった社会経済的要因が激しく絡んできているように思われる。それだけに、問題の本質の見極めが非常にむつかしくなっているといえよう。思えば、かって日本経済が順調な軌道に乗りつつあったとみられた1980年代のときに、欧米の一部主要国は景気後退と高い失業率に苦しんだ。そして、そこから脱出すべく新しい社会経済システムを創出しようとしてきたことについては記憶に新しいところである。そうした努力は、今日に至ってもなお続いているといってよい。
  翻って、それではわが国はいかなる方向を追求し、今日的事態を打開しようとしているのだろうか。明らかなことは、これまでの失業対策的なものでは全く限界があるということであろう。だとすれば、いかにして従来の枠組みを超えたものを打ち出し、新たな次元に対応していくべきなのだろうか。今日、ワークシェアリング、公的就労の創出等をはじめ各種の対応策が論じられてはいるが、それらはどちらかといえば諸外国で試みら
れたものの援用といった感が強い。果たして、日本独自の政策・制度といったものを生みだせるのだろうか。
  こうした状況下で社会政策的にみてひとつ注目すべきなのは、雇用対策法等の改正で市町村も雇用対策にかかわりをもたなければならなくなった点である。これは、極めて重要である。というのも、これによって、国、都道府県といったこれまでのラインとは異なり、市町村も加えた新しい労働行政のラインが構築されることになったからである。高齢者や女性等といった地域密着型の雇用問題がこれからますます大きくなることを考え
れば、市町村レベルのセーフティネットづくりはより大切となる。その意味で、現在の労働行政の大きな転換にも注意を払う必要があろう。
  いずれにしても、こうした激動期におけるわが国の失業問題への接近を通して、失業の量的、質的意味、労働市場の変質の中身、これからの労働行政の体制のあり方等といったかなり根本的な課題に迫ってみたいと考えている。







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