社会政策学会大会 開催校報告



第116回大会開催校報告

 社会政策学会第116回大会は、2008年5月24日(土)・25日(日)の両日、國學院大學渋谷キャンパスで開催された。参加者数は410人(会員313人うち院生会員39人、非会員97人うち院生非会員46人)であった。参加者数が過去最高水準であった前回春季(第114回)大会の427人(2007年東京大学、会員341名、非会員86名)より若干少なかったが、非会員の参加はこれまでにも増して多く、過去最高となったものと思われる。なお、事前振込者うち31人(会員29人うち院生会員5人、非会員2人)が欠席であった。

1. 実行委員会

  第116回大会実行委員会は、2007年5月16日に國學院大學の5人の会員によって組織され、実行委員長に小越洋之助、事務局長に橋元秀一を選出し、事務局を中心に準備作業を進めていくことを確認した。後述するように、最大の問題は会場確保であり、事務局は直ちにその手配に入った。12月5日に第2回実行委員会を開催し、役割分担として、企画委員会との連絡・プログラム広告担当を木下順、会計担当を根岸毅宏、大会プログラム冊子作成・会場設営担当を橋元、懇親会・弁当担当を小越とすることとし、それぞれの準備にあたることとなった。
    事務局では、第114回大会実行委員会事務局長の小野塚知二氏(東京大学)と連絡を取り、同大会での経験等を最大限活用させていただくこととした。とりわけ参考となったのは、大学生協への委託経験であり、第115回大会(龍谷大学)でも事務処理を委託したという実行委員長の大前眞氏にも助言をいただいた。後述のように、大会プログラム印刷・発送、事前振込事務処理、名札作成を國學院大学生協に委託することになったが、十分な事務局体制がとれない中で、無事準備を進めることができた大きな要因であった。小野塚氏と大前氏には深く感謝申し上げたい。
 第3回実行委員会は2008年1月23日に開催され、大会予算案を決定し、1月27日の幹事会にて承認された。その後の準備作業は、会議設定がきわめて困難な状況もあり、連絡調整をメールではかりながら、事務局および各担当を中心に進められていった。
 第4回実行委員会は大会前日の5月23日に開催され、大会会場設営と運営についての打合せを行った。あわせて実行委員をつうじて募った大会要員に集まってもらい、大会要員業務の説明と確認を行った。


2. 会場

 会場確保の問題は、非常に困難な問題であった。國學院大學渋谷キャンパスでは、第二部・夜間主コースの授業が土曜日の21:05まであり、あいにく再開発工事中で教室が最も少なくなっている時期でもあったことによる。コンパクトに50m圏内ですべての会場を準備できるというメリットはあるものの、土曜日に会場として必要な教室数を確保することは無理と判断せざるを得なかった。そこで、土曜日に共通論題、日曜日に分科会とすることを幹事会にご了解いただき、会場確保を図ることとした。
 実行委員会を組織した直後、約1年前の2007年6月1日に、必要となるであろう会場数を想定し、直ちに仮押さえの教室借用申請を行った。しかし、これはあくまでも仮押さえにすぎず、大学担当課は協力を約束してくれたものの、2008年度の時間割も決定していない段階では、不確定要素が多かった。
 具体的な会場借用の折衝・調整を行う事ができたのは、2008年3月であった。共通論題および総会や分科会などの会場となる教室を具体的に決定しなければ、大会会場案内図を掲載する大会プログラムの印刷発注ができない。そのため、時間との勝負であった。また、他の学会も同日開催が予定されたために、その調整も含めて難航した。土曜日の授業教室とのバッティングの場合、大会開催日には授業教室の変更をお願いすることを含めて決断せざるを得ず、24日の共通論題および総会会場、休息室、書籍展示・販売室、各種委員会会場11教室、懇親会会場、25日の分科会会場、休息室、書籍展示・販売室、各種委員会会場10教室を決定した。幸いにも、5月24日は、たまプラーザキャンパスでの体育祭の開催に伴う休講措置がとられることとなり、授業とのバッティングは生ぜず、予定通りの会場を利用することができた。
 こうして、コンパクトな会場利用という意味で、大会開催に貢献できたのではないかと考えている。ちなみに、國學院大學では教員が所属する学会の大会開催に対して、会場使用料は現在の所は徴収していない。なお、当日の冷房について、一部ご迷惑をおかけした点について、ご容赦とご理解を賜りたい。


3. 大会開催の予算と決算

 社会政策学会幹事会が「大会会計指針」を決定し、第114回大会以来、大会開催の効率化や経費削減がはかられてきた。第116回大会では、これらの前例を参考にしながら取り組みを進めた。予算および決算は、別紙の通りである。  収入は、1,956,730円であった。予算よりも3万円余り多くなったのは、広告・展示販売が1社多く、懇親会参加者が多く、弁当申し込みは少なかったことによる。支出は、収入と同額に収まり、会計面でも無事に開催の責任を果たすことができた。
 収支ゼロとすることができたのは、支出面での経費を抑えることができたからである。その主たる要因は、國學院大學生協の協力に依るところが大である。國大生協に委託した開催業務は、大会プログラム印刷・発送、事前振込事務処理、名札作成であり、原稿や書式等をすべてファイルで事務局が作成した上で委託したこともあって、これらを57万円余りの金額で請けてもらった。この結果、予算より8万余円安くすることができた。加えて会場看板などについては無料で協力していただき、予算5万円を節約できた。國大生協には、さらに懇親会と弁当を発注したが、懇親会の料理等の質量を考えれば、格安で提供いただくことができ、経費を抑えられた。
 他方、予算よりも経費がかさむことになったのは、大会準備と運営のための要員アルバイト謝金と要員の宿泊費のためである。これらは、二部授業終了後の21:05以降と早朝に会場設営をしなければならなかったことなどによる。これらの経費は当初予算を上回ったものの、赤字を発生させることなく、全体として効率的支出とすることができた。


4.会場準備・運営等

(1)広告および書籍展示販売の募集
 出版社等10社に対して、広告掲載および大会会場での書籍展示販売について案内を送付した。大会プログラム冊子への半頁広告掲載と書籍展示・販売を一括のものとして18,000円で募集した。9社より申し込みが寄せられ、うち2社は広告掲載のみであった。各社に提供した書籍展示・販売スペースは、机は幅258cm×奥行き78cm、椅子は2つ(希望に応じて増減)であった。会場に便利な位置の教室を確保できたこともあって、本学会関連の書籍多数を見ることができ、大会参加者には有用であったと思われる。また、開催経費をまかなう上で、小さくない貢献であった。
(2)プログラム等の作成・発送
 大会プログラム冊子については、企画委員会が作成したプログラムと要旨原稿の部分を含めた版下を事務局で作成し、短期に安く印刷できるようにした。発送用ラベルは、学会事務センター(ワールドプランニング)から提供いただき、クロネコメール便で送付した。なお、前述したように、印刷と送付は國大生協に委託した。発送後、学会ホームページおよび学会メイリングリストを通じて、プログラムが配達されない場合は実行委員会までご連絡いただくよう呼び掛けた。住所変更などで返送されてきた物が30件以上あり、個別にメールで連絡もし、返信のあったものには郵便で再送した。
(3)事前申込
出欠葉書を用いない効率的やり方を踏襲し、5月9日までの事前振込を呼びかけた。学会ホームページを見た非会員からの問い合わせもあり、非会員の事前振込も受け付けた。事前振込は、267人(うち非会員11人)であった。事前振込の中には、学会名簿では院生会員となっている者が、一般会員の参加費2,500円を納入するケースがあった。こうした場合は、既に就職して一般会員となっているものと思われたので、2,500円納入者は全て一般会員とし、1,500円納入者を院生会員とした。
 なお、5月9日の期限までの納入者が例年よりも少ないと思われたので、5月15日を最終期限とするように延期して受け付けた。
 (4)パワーポイントへの対応
共通論題会場と分科会5会場すべてでノート型パソコンを準備し、パワーポイントを利用できるようにした。利用希望者には、当日データを持参すると共に、予備として事前に事務局宛に送るように広報したが、事前提出者は半分程度に過ぎなかった。ともあれ、各会場に要員を配置してあったが、特段のトラブルもなかった。
(5)懇親会・昼食・弁当
 懇親会は、若木タワー最上階(18階)を会場とすることができたので、総会会場からの移動は短時間かつスムーズであった。天気があいにくではあったが、夜景もある程度楽しんでいただけたのではないかと思う。國大生協の協力によって、上質な清酒を含む飲み物や料理を十分に提供できたのではないかと考えている。なお、懇親会参加者は125人(事前104人、当日21人)であった。会場のスペースの事情で多くの当日参加希望者をお断りせざるをえなかった。昼食は、両日とも学会開催にあわせた特別メニューを準備し、國大生協から特別営業の協力を得た。弁当は幹事・委員および大会要員用のみとし、一般参加者向けの弁当の用意はしなかった。大会会場前建物の地下にあった生協食堂が多くの方々に利用され、コンパクトな開催が、この点でも実感いただけたのではないかと思われる。 (6)会場設営、大会運営、大会要員等
 開催にあたって特に留意したことは、参加者がスムーズに國學院大學渋谷キャンパスに到着し、受付が混雑することなく会場へすぐに行けること、必要な要員を確保して円滑な運営を行うことであった。コンパクトな開催が混雑する狭いスペースとならないように工夫する必要があった。幸い、最も心配していた受付の多い24日が休講となり、学生が出校しないことになったので、両日共にスペース全体をほぼ大会運営に活用できた。
 大会要員として、前日準備に11人、24日に22人、25日に18人の院生・学生を確保した。前日準備は、15時から22時までに配布するワーキングペーパー等の封筒詰め、会場設営を行った。授業のない教室の設営は夕方までに終了したが、21:05まで授業のあった共通論題会場等などはその後に行うしかなかった。マイクやパソコンの準備などは、当日7:30から施設管理業者とともに行った。当日は、渋谷駅およびキャンパス正門付近に案内係を配置し、掲示物による案内と共に、スムーズな案内を心がけた。受付も10:30まではできる限りの要員を配置し、混雑が生じないように努め、ほぼ円滑にできた。
 共通論題および総会、分科会それぞれの会場は、必要と考えられる人数の入る規模の教室が確保でき、資料配布とマイク係などの要員も概ね必要な人数を配置できた。休憩室は出入口横の大教室を充て、飲み物を準備し、要員も常時1名ないし2名を配置した。固定式の机・椅子であったので、休憩室としては使いにくい教室であったのではないかと恐縮していたが、便利な位置にあったこともあって、多くの方々に利用いただいた。また、分科会資料の残部は、休憩室の一画に並べ、自由にお取りいただいた。
 なお、5月22日までにお送りいただくようにお願いしていた共通論題、分科会、自由論題の報告者のフルペーパーは、期限をできる限り直前としたこともあって、当日持参の3名を除き概ね事前提出された。当日の増し刷り要請も特になく、円滑にいったと言える。
(7)託児所
 國學院大學渋谷キャンパス近隣には託児所がなかったので、渋谷駅周辺の2施設を紹介し、各自直接申し込んでいただくようにした。第114回大会実行委員会の例にならって、託児料が1日当たり1万円を超える場合には実行委員会で負担することとし、プログラムに明記したが、申し出は1件もなかった (8)事後処理業務
 25日17:00に大会が終了し、20:00までに各会場の掲示物の撤去、原状復帰、ゴミ処理等を迅速に済ませることができた。しかし、受付簿と現金の整理、アルバイト謝金の計算・支払い明細の作成・支払金額の用意と支払い、生協等への経費の支払いを終えるのに、1ヶ月を要した。また、大会継承物品(名札入れ、その他文具・記録類)の整理・補充と次期開催校への送付、大会開催校報告の作成などの事後処理に約3ヶ月を要した。各方面にご迷惑をおかけしたことに、お詫び申し上げる。

5.終わりに

 コンパクトで省エネ開催を心がけ、かつ大会の成功と参加者へのきちんとした便宜の提供に努めたつもりである。概ねその責を果たせたのではないかと安堵している。報告者、座長、参加者、幹事会および春季大会企画委員会など関係各位のさまざまなご協力とご理解に感謝申し上げたい。また、実行委員会の不手際で、不都合や不快をお感じになった方がいらっしゃったかも知れない。その際は何卒ご寛容を賜りたい。


〔文責:橋元秀一〕