社会政策学会大会 開催校報告



第110回大会開催校報告

大会会場となった専修大学120年記念館

はじめに

  社会政策学会第110回大会は、2005年5月28日(土)・29日(日)に専修大学生田キャンパスで開催され、2日間で368名(会員303名、非会員65名)が参加された。

1、実行委員会

  第110回大会実行委員会は、2004年7月13日に発足し、大会終了後の2005年7月12日まで10回開催された(2004年中に3回、2005年に入って7回開催)。大会実行委員長実行委員会は、高橋祐吉(実行委員長)、兵頭淳史(学会幹事・春季企画委員・プログラム担当)、浅見和彦(事務局長・会計担当)、内山哲朗(懇親会・昼食・貸切バス担当)、唐鎌直義(会場設営・託児室担当)の各会員で構成し、2005年4月からは福島利夫会員(会場設営担当)が加わった。
 2004年10月には、第108回大会の開催校である法政大学の早川征一郎・鈴木玲・五十嵐仁会員から、開催にあたっての経験をうかがう機会をもて、またデジタル情報の提供を受けたのは有益であった。


2、会場

  社会政策学会の大会は、専修大学では過去4回開催されていた。今回は1983年以来22年ぶりの開催であった。専修大学は神田キャンパス(東京都千代田区)と生田キャンパス(神奈川県川崎市)をもっているが、今回は、大会に求められる共通論題会場の規模、分科会会場の数、総会や懇親会の会場、幹事会・各種委員会・部会の会場の確保、情報機器の設備などを考慮して、生田キャンパスでの開催とした。第1日は9号館(総会のみ5号館)、第2日は1号館を会場とした。会場受付
  最寄り駅からバスでおよそ10分かかること、第1日と第2日の会場となる建物が別棟になり、かつ利用するバス停が異なることなどに配慮した大会運営、参加者への案内・誘導をおこなうことを心がけた。また、第1日の懇親会後には貸切バスを3台運行することとした。
なお、開催にあたっては、専修大学に対して2004年10月に開催申請を提出し、学務課・庶務課・管理課などの関係部署の協力を得た。



3、大会プログラム

  共通論題と分科会のプログラムについては、春季企画委員会(田中洋子委員長)が周到な準備を進め、原稿を作成された。これは第108回大会のプログラムを準備する際に見られた問題を改善する上で重要な前進であった。実行委員会はいくつかの形式的な統一だけをおこない、大会事務局からの連絡事項と会場の案内を合わせて、完成させ、4月21日には会員宛に発送することができた。



4、分科会と共通論題

第3分科会

  第1日におこなわれた分科会は、テーマ別が8分科会、自由論題が8分科会の計16であった。会場はエスカレーターが利用できる同じ建物の6・7・8階を用いたので参加者の移動なども比較的容易であったと思われる。第1日の参加者は会員288名、非会員55名の計343名であったので、これらの人びとが各分科会で熱心に報告・議論され、大変盛況であった。
  共通論題は、「労働・生活時間の構造変化から見る社会政策―仕事と生活のバランスをめぐって」をテーマとして、第2日におこなわれた。社会政策学会会員の研究分野・問題関心の広がりや多様性のため、共通論題のテーマ設定の難しさが指摘されてきていた。第1日の分科会参加者が前述のように343名あったので、第2日の共通論題にも多くの方が足を運んで下さるだろうと期待した。共通論題会場実行委員会が期待したようには増加しなかったとはいえ、春季企画委員会の尽力もあり、第2日の新規参加者25名(会員15名、非会員10名)を含めて、午前中の報告におよそ150名が、また午後の報告と総括討論におよそ100名が参加され、貴重な報告と議論が展開された。
また、共通論題の報告ペーパーは、会員・非会員とも提出締切日を守っていただき、円滑な運営にご協力いただけた。なお、会員のペーパーの印刷部数は、従前は400部となっていたが、第108回大会の経験などを考慮して今回500部としていただくよう実行委員会から幹事会に提案し、了承いただいた。
 一方、40名を超える分科会報告者のペーパーは、締切日までに到着したのは全体の4割ほどの報告者だけであり、大会前日までに到着したものを入れても7割にとどまった。つまり、3割の報告者は大会当日に持参したことになる。報告をおこなう学会員としてのモラルが問われる事態が見られたことを率直に指摘せざるをえない。
 パワーポイントやプロジェクターなどの機器使用については、これまでの大会の経験もふまえて、企画委員会を通じて事前に使用希望をたずねたため、会場となる教室とマッチさせる上では対応できたが、報告者に持ち込んでいただいたパソコンの設定や、プロジェクターの作動という点ではトラブルが生じた。また、共通論題の会場では、複数のマイクを使用するという条件での事前のチェックと調整が十分ではなかったため、ご迷惑をおかけする事態が発生した。

5、昼食・懇親会

 昼食弁当と懇親会は、専門業者に依頼した。懇親会で挨拶するマイケル・ヒル氏 昼食弁当の発注数(前納と当日の予備分)は、第1日が170食、第2日が130食であった(両日とも、学生要員や出店関係者の分を含む)。
また、第1日のアトリウムでの懇親会には合計156名(納入人員ベース)の会員、非会員、出店関係者が参加した。高橋祐吉実行委員長(専修大学副学長)の歓迎挨拶、玉井金五代表幹事のご挨拶のあと、山本潔会員のご発声で懇談した。また、国際交流分科会で報告されたイギリス社会政策学会の重鎮マイケル・ヒル氏からご挨拶をいただいた。



6、出欠はがきの返信、郵便振替による前納の状況

 大会参加者数や昼食弁当・懇親会参加者数を事前に把握し、手配するために、出欠はがきの返信、参加費・昼食弁当代・懇親会会費の振込(前納)が重要になる。しかしながら、5月9日の締切日までに「出席」の返信はがきを投函され、かつ振込をされたと思われるのは、およそ170名であった。そして、大会直前の5月23日までに「出席」の返信はがきが到着したのは255名で、郵便振替による振込は大会直前まであり、大会終了後に振込通知が到着するという極端なケースもあった。参加を予定されて取りやめた会員もおられるが、冒頭で述べたように全体で368名の参加者があったので、およそ110名の会員・非会員が当日参加の手続きをされたことになる。
こうした状況のため、受付の際にお渡しする領収書の作成、昼食弁当の発注数、懇親会の参加者数の事前把握に難しさを伴った。会員には、出欠はがきを出していただくこと、また郵便振替は振込日から5日ほどたってから加入者(実行委員会)に通知されるため、締切日を守っていただくことをお願いしたい(前納制は第104回大会から採用されたが、締切日以降の振込に関する取扱いのルールは未確立である)。なお、参加費の前納割引(一般会員・院生会員とも500円割引)をおこなったが、懇親会費については前納割引をおこなわなかった。

7、学生要員

閉会後、学生諸君は整列し、会員を見送ってくださった。

 今大会では、実行委員のゼミ生を中心とした学生(院生を含む)の要員を大会前日に38名、第1日に30名、第2日に24名確保し、準備と運営にあたった。大会前日には要員全員で「大会運営マニュアル」にもとづいた打ち合わせをおこない、仕事の分担を確認し、準備作業をおこなった。大会当日は、受付、最寄り駅での案内、バス停などの大学周辺とキャンパス内での案内、分科会や共通論題の担当、休憩室、昼食弁当、懇親会、本部の担当などの分担をおこなった。幸い、参加された何人かの会員から「学生の案内や対応が非常に適切だった」「印象的であった」という評価を口頭や書簡でいただいた。

8、託児室

 第108回大会から実施している託児室の確保を今回もおこない、プログラムで案内をおこなったが、利用者はなかった。

9、出版社・書店の出店

 今回は、「常連」の御茶の水書房、ミネルヴァ書房、法律文化社、明石書店の4社のほかに、極東書店が3月に玉井代表幹事あてに新規の出店希望を申し込まれた。代表幹事からは、4社の出店を優先させた上で、なお受け入れが可能かどうかの判断をするようにとのご連絡を受けた。極東書店が両日にわたる出店にはこだわっていないことや、第1日であればスペースの確保が可能であることから、第1日のみ受け入れる対応をとった。大会の開催日の直前になって数社から問い合わせがあったが、これらはお断りした。分科会の数や、昼の休憩時間帯に開催される幹事会・各種委員会・部会の数(今大会の第1日の場合、13にのぼった)が増えてきているなかで、今後、出店希望の増加にどのような手続きで対応するかを幹事会・開催校で検討する必要があろう。

10、財政

 学会本部より100万円の開催費をいただき、また専修大学からは15万円の助成金をいただいた。出来る限り効率的に運営し、支出するように心がけたが、実行委員会がおよそ5万円を負担することとなった。
 授業や学内役職などの大学業務を通常通りおこないながら、学会大会を準備・運営するのは多忙極まりないことであった。そうしたなかで、実行委員のあいだで適切な仕事の分担をおこなうことができ、学生要員の協力を得て、無事大会を終えることができたのは幸いであった。また、代表幹事はじめ幹事会や春季企画委員会の激励に感謝申しあげたい。もちろん、大規模な大会であり、いくつかのところで思わぬ不手際を生じさせた。これについては参加された会員・非会員の皆さんにお詫び申し上げ、ご寛恕をお願いしたい。

〔文責:浅見和彦〕