社会政策学会大会 開催校報告





第109回大会開催校報告

大会受付

はじめに

 社会政策学会の第109回大会は、26年ぶりに大阪市立大学で2004年10月16,17日に開催された。両日とも快晴に恵まれただけでなく、おそらく秋の学会としては最高と思われる「343人」もの参加があった。春に東京で開催される大会での参加者数が400人前後であることを考えると、ほぼそれに匹敵する数字である。
 学会が盛況になることは、実に喜ばしい限りである。しかも、年々若い研究者、院生の参加が目立つようになってきていることも、学会の活性化という視点でみるとき、非常に重要な傾向であるといってよいであろう。また、非会員の参加も増えてきており、ネット上での情報提供がかなり功を奏していると思われる。

2 大会に向けて始動

 学会の準備は大体1年前からスタートした(実行委・玉井金五、服部良子、所道彦)。まずは、会場を押さえることである。大阪市立大学には1996年にオープンした学術情報総合センターがあり、設備、機能面からすれば最新のものを有しているので、まずこれを拠点にすることにした。大会会場となった学術情報総合センター ただし、近年分科会が増えてきているので、センター内の室数では十分でなかった。
 そこで、もうひとつ会場を設定しなければならず、その点について時計台のある1号館か、もしくは完成したばかりの全学共通教育棟にするかで迷ったが、本学ではもっとも歴史と伝統を感じさせる1号館を選択した。20世紀の「1号館」と21世紀の「センター」という対照的な構図もいいだろうと判断した次第である。大会会場となった「1号館」
 学会の準備といえば、かなりこまごまとしたことが多々ある。実は、この点に関して本学の生協が新しく学会の準備に関わるいくつかの部門を請け負うという事業を開始していたので、早速相談してみた。会場の看板や掲示物の作成、また弁当の用意、さらには懇親会といった類のことをすべて生協にお願いする方が効率的、かつ効果的と考え、依頼した。
 結論からいえば、これは大正解であった。いわば一種の分業体制が確立したので、実行委はプログラムの作成をはじめとする他のことに集中できた。とくに、プログラムの構成は秋の企画委員会の阿部委員長が精力的に作業をしてくださった。企画委員会と実行委がうまく連携できたので、その後の印刷、8月末の発送まで大体予定どおり進むことができた。

3 大会当日の様相

 大会1週間まえから慌ただしくなりはじめたが、前日までに日々やるべきことを決め、それをいくつかの作業グループに分けて実行していったので、まずまずのところまでくることができていたのではないかと思う。すなわち、大きく会場関係、参加者関係、会計関係という形で、責任分担したのがよかった。 共通論題会場
 大会1日目は順調にスタートした。会場が二つに分かれたので、できるだけその誘導に注意を払うようにした。とくに、1日目は分科会が中心ということもあり、参加者の動きが最も激しくなる。二つの会場にすこし距離があって心配したが、ほとんど問題は起こらなかった。しかも、好天が後押ししてくれた。
 また、近年パワーポイント等の機器を使用することが増えてきている。今回もその準備に気を遣った。事前に、報告者に対して使用するのか否かの問い合わせを徹底したのもよかった。そのためか、当日突然使用したいという申し出のケースはなかった。こうしたことは、今後も徹底していった方がよい。共通論題会場

 また、会場が参加者数に対して相応しいスペースであるかどうかにも、気を遣った。これも結論からいえば、会場が狭すぎて入れなくなるということは全くなかった。先の機器使用の事前把握とともに、会場と参加者数をいかに読み取るということも大事である。この二点については、うまくいったと思われる。
 第1日目の夜に、学術情報総合センターの最上階において懇親会を開催した。約150名近くの参加があり、盛会であった。大阪市立大学の金児学長の挨拶に次ぎ、本学名誉教授の竹中恵美子会員に乾杯のご発声をいただいた。お約束どおり「大阪名物」のたこ焼きをご用意させていただいたが、大好評であった。
 第2日目は共通論題だけであり、センターの大会議室のみを使用した。2日目にもかかわらず参加者は多く、午前中に約200名、午後の総括討論のときにも100-150名の参加があり、会員の関心の高さを反映する会となった。しかも、報告者4人の全員がパワーポイントを使用しての報告を行ったことも、学会史上はじめてのことではないだろうか。

4 今後に向けて

 今回の大会を担当するにあたって、これまでの開催校報告から学ばせていただいたり、また従来から引き継がれてきている関係資料を大いに参考、利用させていただいた。もっとも、先に述べたように秋の大会としては非常に規模が大きかったので、行き届かなかったこともいくつかあった。この点は、ご容赦願うしかない。
 おそらく、今後秋の大会もますます大規模化していくのではないかと思われる。だとすれば、当然会場のスペースの確保や事前準備、大会当日の運営等で多くの人手がいることになり、開催校にそのための心構えが求められる。今回は、まず業務の分担において実行委と大学生協とでうまく調整できたことは大きかった。
また、本学は幸いなことに社会政策学会の会員が多く、しかも院生会員も一定数いるために人手の確保という点においては、比較的スムーズに運んだのではないかと思う。さらに、大会1週間まえから当日まで院生やゼミ学生が献身的な努力をしてくれたのも大きかった。学生にとっても、学会の全国大会を経験できることは大いに意義があろう。
 なお、託児所の利用については、事前に場所、施設内容等の問い合わせがあったが、実際の利用には至らなかった。
 いずれにしても、全日程を無事に終えてホッとしている。有難いことに、終了後何人かの会員から「いい大会であった」というお褒めの言葉をいただいた。それまでの苦労と疲れが一気に吹き飛ぶ瞬間である。

〔文責 玉井金五〕