柳沢敏勝+遠藤公嗣(明治大学)
社会政策学会第100回大会は2000年5月27、28日の両日、明治大学駿河台校舎リバティタワーで開催されました。
大会参加者は410名以上でした。その内訳は、会員で参加通知有りが217名(ただし参加通知のあった会員総数は272名)、会員で参加通知無しが103名、会員の合計は320名でした。その他に非会員の参加が90名以上で、会員と非会員の合計で410名以上となったわけです。おそらく学会史上最多の参加者数であったと思われます。非会員は男女ほぼ同数で、大学院生クラスの人が多かったようです。
第1日のテーマ別分科会6会場、自由論題4会場とも、おおむね満員の盛会でした。これまでの大会と同様、レジメ等は報告者自身が準備することになっていましたが、予想外の多数参加者のため、レジメ等が不足した会場もあったようです。レジメ等の増刷依頼を開催校の補助学生が参加者から受け、その一部を行いましたが、増刷用のコピー機械や人手の必要性が予想外であったため、必要な増刷の全部を行うことは不可能でした。第2日の共通論題会場も予想外の盛会で、220部以上準備されたレジメ等が不足し、開催校で急遽なんとか増刷しました。
懇親会有料参加者は150名でした。参加通知は122名でしたが、直前まで110名しか懇親会費入金がなく、やや気にかけていたところ、直前に40名が参加を決め、会場が手狭になるほどの盛会となりました。直前に参加を決めた40名は20歳代の女性大学院生が多かったようです。その結果、懇親会参加者は男女ほぼ同数で若年層が目立ち、これまでの懇親会の雰囲気とは「様変わり」の感がありました。
大会参加者が多かったことの理由として推測できることは、1)分科会や自由論題の多様さによって、会員非会員の多様な関心に応じられたこと、2)共通論題の議論設定が報告者間でよく準備され、会員の関心にふれる部分が多かったこと、3)事前送付のプログラムに報告の200字要旨が掲載され、会員に報告内容がわかりやすかったこと、4)そのプログラムが学会HPに掲載され、非会員にも伝わったこと、などがあげられるでしょう。また懇親会の「様変わり」は、直前のセッションが自由論題であって、その議論と交流の延長が懇親会に持ち込まれたとも考えられます。今大会は、共通論題の報告を第2日にまとめ第1日に一切設定されなかったのですが、その副次効果ともいえるでしょう。
他方、課題も残りました。1)ハガキによる会員の参加通知が、信頼するに足る情報でなくなったこと。冒頭に述べたように、ズレが大きく、そのズレは、第98回慶應義塾大学大会のズレより大きく拡大しました(学会ニュースレター通号21参照)。非会員の多数参加もあります。これらを考慮すると、ハガキによる情報収集と開催校での出欠処理はもはや不必要かもしれません。第102回大会より参加費徴収が決まりましたが、割引参加費の大会前徴収などを導入し、信頼度の高い参加者数を予想することも一案でしょう。
もっとも、そのための手数増加を勘案して導入は決めるべきでしょう。2)参加者が予想外に多く、報告者が準備したレジメ等が不足したこと。残念なことですが、報告者が十二分なレジメ等を準備することしか対処法はありません。しかし、各会場各報告者別の参加者数の予測は困難で、それでも不足するかもしれません。その場合は、大会後に報告者が希望者に送付することとなるでしょう。大会後の送付は、外国の学会ではよくあることです。開催校が不足部数を緊急に増刷することは、そのためのコピー機械と人手の事前配置のコストを考えると、多くの開催校で困難ではないでしょうか。
第100回明治大学大会は、「多数会員が拝聴する学会」から「多数会員が参加する学会」への、社会政策学会改革を一歩押し進める大会になったと思います。「拝聴する」ための条件の不備にご不快を感じた会員にも、ご寛容をお願い申し上げます。大会が盛会のうちに終了しましたことに、参加会員のみなさまにあらためて御礼申し上げます。