日本学術会議 経済政策研連の報告 日本学術会議

経済政策研究連絡委員会について

経済政策研究連絡委員会委員
伊 藤  セ ツ



【経済政策研究連絡委員会の構成】

 1997年4月1日から、加藤佑治氏のあとを受け継ぎ、日本学術会議第16期の経済政策研究連絡委員会委員に委嘱されておりましたが、1997年10月21日付けで、第17期(会長:吉川弘之)の委員に継続委嘱されました。任期は2000年10月20日までです。

 1997年11月17日(月)、第17期第1回の委員会が開催されました。その際決定した、1998年3月30日のシンポジウムについては、すでにニューズレターでもお知らせしましたので、ここでは、委員会の雰囲気・内容等をお知らせしておきたいと思います。

今期、経済政策研連から選出された学術会議の会員はつぎの5名です。

(かっこ内は再・新別:推薦母体学会と登録時会員数:所属大学)

 17期の経済政策研連登録学会は、31学会、うち経済政策研連を第一順位として所属する学会は25学会で、研連委員の定数は会員を含め25名です。前期は28学会、研連委員の定員は21名でしたので、4名の定員増があったことになります。

 社会政策学会は13期は学術会議会員は出せず、研連委員は栗田、西村の2氏、14期は黒川俊雄学術会議会員のもとで、研連委員は下山、兵藤の2氏、15期は、学術会議会員は無しで、研連委員は荒又、栗田の2氏、16期は同じく学術会議会員は無しで、研連委員は加藤佑治氏1名(1997年3月迄)ということでやってまいりました。

 今期、会員以外の研連委員を出す事のできた学会は、従来の16学会16名に加えて、4学会4名が加わりました。新しい4学会の選考は会員数の順で行ったとの事です。

 前期から引き続いて、委員を出している学会名を会員数の多い順に並べると次の通りです。

1 日本経済政策学会     1,291名
2 日本計画行政学会     1,193名
3 社会政策学会         880名
4 生活経済学会         796名
5 経済地理学会         731名
6 日本協同組合学会      650名
7 日本地域学会         588名
8 社会経済システム学会    452名
9 日本中小企業学会      449名
10 日本人口学会        408名
11 日本交通学会        374名
12 経済社会学会        344名
13 産業学会           314名
14 ロシア・東欧学会      305名
15 日本港湾経済学会     215名
16 日本海運経済学会     183名

 今期から新たに委員を出すことになった学会は次の通りです。
17 都市住宅学会        973名
18 日本不動産学会       635名
19 日本流通学会        343名
20 国際公共経済学会     318名


 ちなみに、研連委員を出さなかった学会は次の5学会でした。 1 (財)統計研究会               583名 2 (社)日本労使関係研究協会        288名 3 日本シュミレーション&ゲーミング学会  274名 4 日本社会情報学会              222名 5 医療経済研究会               110名

 なお経済政策研連の委員25名中、他学会から選出された委員のうち、社会政策学会の会員は、日本中小企業学会から出ている三井逸友氏(駒沢大学)1人、女性は、社会政策学会の私と日本流通学会の西村多嘉子氏との2名でした。



【第1回委員会報告】

 11月17日の第17期第1回の委員会の議題は、当研連委員の委員長及び幹事の選出、シンポジウムの企画、平成10年度代表派遣会議及び代表派遣候補者の推薦、その他でした。
委員長には植草会員がきまり、幹事は植草委員長の指名によって、加藤壽延委員(日本経済政策学会)、熊田禎宜委員(日本計画行政学会)、大野喜久之輔委員(ロシア・東欧学会)が決まりました。

シンポジウムの企画については、今年度は、第11回目として、「パラダイムの変換と経済社会政策 その3」をテーマに、1998年3月30日(月)に行う事になりました。社会政策学会はこれまで、このテーマで、2回登場しているのですが、どの学会も積極的に報告希望を出し、結局、生活経済学会、社会政策学会、都市住宅学会、日本計画行政学会、日本流通学会、ロシア・東欧学会の6学会が報告する事になりました。
 何度も報告する事になる社会政策学会はジェンダー視点を、日本計画行政学会は女性労働視点を入れ、女性の報告者を用意し、新しいパラダイムを展開する構えを示し、ニューズレターでお知らせした通り、大沢真理氏に報告を、高田一夫氏に討論者になっていただくことになりましたました。プログラムは1998年1月中にお知らせ出来ると思います。

 平成10年度「代表派遣会議及び代表派遣候補者の推薦」については、学術会議会員・研連委員が国際的性格をもつ学会へ出席するとき、学術会議からの派遣と言うことで旅費を支給するというものですが、社会政策学会は申請したことも支給されたこともありません。委員の中からは、会員や委員に限定せず学会員にも枠を広げるべきだという意見も出ていました。今回はとりあえず、枠を拡大するために全学会から申請することにしようと委員会で申し合わせました。これは、従来当たっていない学会に可能性が高いということですので、社会政策学会も、学会が団体加盟している「ヨーロッパ労働経済学会」に出席することで申請しました。

 その他としては、研連活動費としての学会分担金(当学会は3万円)の拠出を従来通り行うこと、経済政策研連委員を出している学会の、大会テーマ等を相互に出し合って理解を深めること、1997年10月22日に開催された日本学術会議第127総会で申し合わされた「日本学術会議第17期活動計画」の内容を各学会の会員に周知徹底して手邸ニューズレター当に掲載して、会員への周知徹底を図って欲しいとの要望が、委員長から出されました。

 大変長いものですので要点を項目によって列挙します。

日本学術会議第17期活動計画

1 活動の基本的方向
 (1)多数の領域を擁する学術全体を俯瞰的に見る視点の重視
 (2)行動規範の根拠を提供する開いた学術の構築
 (3)学術会議の国内外における能動的活動の推進
2 重点課題
(1)常置委員会
 ア、研究連絡委員会の在り方:研連の見直し、各種研連の実態調査にもとずく研連の機   能強化、地域研究に関する研連にまたがる専門委員会の設置
 イ、科学者の社会的責任:大学改革のなかでの科学者の在り方、大学、国公立研究所、   民間研究所、産業界の四者間の連携方策の検討 
 ウ、21世紀に向けての学術の在り方人文・社会・自然の諸科学間での俯瞰的立場から   の協力関係の強化
 エ、学術研究体制の再構築
  @学術研究の成果を発信する役割の強化
   学術団体が発行する学術雑誌のより一層の高度化と国際化
  A学術研究環境の充実
 オ、学術情報・標本・資料の収集・整理と公開
 カ、国際学術交流・協力の推進
  @国際的環境条件の変化への対応:一層多くの国際会議の日本での開催、アジア諸国   を始めとする諸外国のアカデミー等との連携を深める
  A国際学術団体との対応の強化
(2)臨時(特別)委員会
 ア、学術の社会的役割:学術を担う科学者の社会に対する負託自治の自覚、倫理、学術   と社会の新しい相互関係の構築について検討
 イ、20世紀の学術と新しい科学の形態・方法:今世紀における学術の発展の基本的特   徴とその到達点の総合的評価、現代社会が当面する矛盾の解決に向けて、複雑な条   件が相互に影響しあう現実の問題を包括的・相対的に取り扱う新しい科学の形態と   方法−たとえば、複雑系の科学、フィールド科学、プログラム科学−の展開の可能   性の検討
 ウ、科学技術の発展と新たな平和問題:20世紀の平和問題は「戦争と平和」が中心。   21世紀の平和問題は「人間福祉のための闘い」が中心。この新たな意味での平和   問題を取り上げ、総合的に検討する。
 エ、アジアのダイナミズムの多面的検討:アジア研究の重要性の高まりに対応し、アジ   ア地域における法律・政治・経済・社会・文化・宗教・生活様式・技術・資源・生   態・環境などを総合的に把握して、同地域のダイナミズムの特性を多面的に検討す   る。
 オ、女性科学者の環境改善の推進:男女の別なく科学者としての能力を最大限に発揮で   きる環境を整えるべく、その実行方策を検討する。
 カ、少子社会の多面的検討:少子化の原因を見極め、少子社会の問題を保健・医療・福   祉・扶養・保育・教育・雇用・年金など、多面的な見地から検討する。
 キ、食問題:先進国の過食・偏食、途上国の食糧不足のなかで、食糧の安全保障と食品    の安全性、食生活と環境問題の関わり、風土と食文化について総合的に検討。
 ク、教育・環境問題:両者は可能なすべての視点から視点から審議されなければならな    いものであり、学術的知識全体の創造的適用を行って解決に向けての方策を検討す     る。
3 重点課題の審議
  常置委員会、特別委員会等が審議に当たる。  





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