保健医療福祉部会 シンポジュウム
「共生社会の理念と実際ー社会政策との関連で」
社会政策学会保健医療福祉部会と福祉社会学会(第14回研究会として)の共催で、シンポジウムを以下の通り、開催することとなりました。
学会シーズンの最後で、皆様方、ご多用と思いますが、奮ってご参加いただきたく、お願い致します。
日時:2006年11月25日(土) 午後1時〜午後5時
場所:東京大学本郷キャンパス・法文1号館215番教室
本郷アクセスマップ
法文1号館
★コーディネーター兼司会
三重野卓(山梨大学)
★第1報告
「共生社会の構想と指標体系−内閣府の試みについて」
報告者:小野達也(鳥取大学)
★第2報告
「情報バリアフリーの視点から見た共生社会政策の特徴―知的障害を題材として」
報告者:杉野昭博(関西大学)
★第3報告
「コミュニティ凝集力と共生―地域調査から―」
報告者:金子 勇(北海道大学)
★討論者
菊地英明(国立社会保障・人口問題研究所)
平岡公一(お茶の水女子大学)
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★主催
社会政策学会保健医療福祉部会
福祉社会学会
★問い合わせ先
三重野卓
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【企画概要】
わが国においては、1990年代から共生、および共生社会という言葉が注目を集めるようになっている。それは、当該社会が成熟化し、システムがさまざまな異質性や多様性を許容するようになっているからである。共生は、関係性、連帯、そして、社会的統合に関する概念で、その中に、社会的包摂(social inclusion)、社会的凝集性(social cohesion)、社会関係資本(social capital)などを含むものといえる。そのため、その政策は、資源の配分問題とともに、共生のための価値、ルールをどのように構成するのか、そこにおける情報のあり方は如何なるものか、という視点も望まれる。本シンポジウムの報告の概要は、以下の通りである。
第一報告者の小野達也は、内閣府に設置された「共生社会形成促進のための政策研究会」が取り組んでいる共生社会の概念・社会像(理念)と、それに基づいて定式化された五つの共生をめぐる横断的視点(例、視点3.年齢、障害の有無、性別などの属性だけで排除や別扱いされない社会)により構築された指標体系(共生度指標、青少年、高齢者、障害者の分野別指標)について、委員として参加してきた経験を踏まえて、検討を加える。
第二報告者の杉野昭博は、知的障害者への情報保障の取り組みを検討することにより(事例報告)、情報のバリアフリーが促進される要因について検討する。社会のさまざまなセクターが自らの利害や関心を共有するなかで、知的障害者のアクセス機会が拡大していく様子を紹介したい。従来の個別リハビリテーション型の障害者政策と、「共生型」の障害者政策との違いや補完性についても考察したい。
第三報告者の金子勇は、理論と現場が同根であることを踏まえて、「共生」を一部具体化させたコミュニティ研究の観点から理論と現場を交錯させることが、実り豊かな社会的凝集性論に結びつくと主張する。社会的凝集性の理論化の素材になるのはコミュニティの操作概念、連帯性の操作概念、共生活動事例などであり、それぞれに裏づけとなる「観察された事実」に基づく調査データに準拠して、具体的なレベルでの意見交換をこころがける。