第119回(2009年度秋季)大会
共通論題の報告募集について
2008年11月10日
秋季大会企画委員長 小笠原浩一
社会政策学会第119回大会は、2009年10月31日・11月1日の両日、金城学院大学(名古屋市)を会場に開催されます。共通論題のテーマは「最低賃金制度と生活保護制度−仕事への報酬と生活保障との整合性−」 (座長:岩田正美会員)です。報告の構成は次の1.のとおりです。このうち「報告2」から「報告5」について、報告希望者を、次の要領に従い公募します。応募資格は学会員に限ります。ふるってご応募くださるようお願いします。
1.共通論題報告の構成と公募報告のタイトル・定義
報告は以下の5本です。このうち、「報告1」の報告者は、秋季大会企画委員会が座長と相談のうえ決定します。「報告2」から「報告5」の報告者を公募します。
以下の「報告2」から「報告5」の概要は、秋季大会企画委員会として応募に際して想定される論点のガイドラインを示したものであって、これ以外の視点や論点が創造的に盛り込まれることを歓迎します。
報告1(基調報告・公募外)「最低賃金水準と生活保護水準との整合性論」
成長力底上げ戦略円卓会議の議論や最低賃金法改正において、地域別最低賃金と生活保護水準との整合性の考え方が導入された。最低生活保障という面において両政策は共通しているものの、地域別最低賃金は、賃金として仕事への対価性に加えて、公正競争の確保や支払い能力といった要件も内包している。他方、生活保護費は、経済的貧困状態への公的扶助である。整合性を比較する上でも、地域別最低賃金は、個人の労働への対価として時間額で表示され、都道府県範囲一括適用であるのに対し、生活保護費は世帯を単位に月額で表示され、市町村級地指定に基づき異なった基準で計算されるといった具合に、何と何を比較するのかという技術的な難しさを伴っている。整合性論の背景には、格差、低所得問題の是正という現下の政策目標が存在するが、目標に対して問題状況を解消するためのツールとして、最低賃金と生活保護との整合性の確保がどうして合理的であるということになったのか、その政策判断の根拠を探ることを通じて、この問題に内在する理論的・実証的論点を明らかにする。
報告2(公募)「地域別最低賃金・生活保護費決定の実態−制度手続きと実際の決定−」
地方最低賃金審議会における地域別最低賃金の決め方、生活保護の級地指定の仕組みや住宅扶助を含む扶助費決定の実態に踏み込み、比較されている双方の数値がどのような社会的要素や力学を反映するものであるのか、制度上作り上げられている決定手続きと決定の実際の仕組みについて、その実態を描く。
報告3(公募)「最低賃金の目的における変化と現実の地域別最低賃金の妥当性」
地域別最低賃金の目的・趣旨ならびにその変化、先行研究における解釈などを踏まえて、地域別最低賃金とはいったいどのような政策的目標や価値を体現する社会的基準なのか、地域別最低賃金の機能にはどのような社会政策的期待が込められるべきなのか、議論する。その際、最低賃金決定の3要件の相互の関連性や仕事への報酬という視点からの最低賃金の検討が含まれることが望ましい。
報告4(公募)「生活保護の目的における変化と現実の生活保護費の妥当性」
生活保護の目的・趣旨ならびにその変化、先行研究における解釈などを踏まえて、生活保護費とはいったいどのような政策的目標や価値を体現する社会的基準なのか検討する。最低生活保障概念についての理論的考察を含める。
報告5(公募)「国際的パースペクティヴから観た最低賃金・生活保護費の目標性」
ILOのディーセント・ワークなど国際基準、主要国における市民にふさわしい自立した生活保障のための基礎資源としての最低生活費・最低賃金のロジック比較など国際的なパースペクティヴから、やや規範論的にあるべき政策の考え方にアプローチする。とくに、仕事への報酬の適正な最低水準をどのように論理構成するのか、市民にふさわしい自立した生活保障への適正な貨幣的最低水準をどのように論理構成するのかについて、政策論的な見通しが示されることが望ましい。
2.応募の方法と日程
(1)応募の方法
a. 応募は、1会員につき上記「報告2」から「報告5」のうちいずれか1件に限ります。
b. 学会ホームページ掲載の「応募用紙」に記入の上、電子メール添付でお願いします。 応募先は秋季大会企画委員長あて、件名を「119大会応募」としてください。
共通論題応募用紙
応募先メールアドレス:
(2)応募・選考の日程
1) 応募締切りは、2009年1月12日(必着)です。
2) 選考結果は、2009年1月末までに通知します。
3.選考の基準と手続き
(1)選考委員会
選考委員会は、秋季大会企画委員および第119回大会共通論題座長をもって構成します。委員長は第119回大会共通論題座長とします。
(2)選考の基準
1) 共通論題テーマに対して期待される内容にふさわしいものであること。
2) 実証性、論理性ならびに倫理性に優れた内容であること。
3) 政策的提言性を意識した内容であることが望ましい。
(3)選考手続き
選考委員会の審査を経て、幹事会で決定します。
(4)結果の通知と公表
選考結果は応募者に通知します。あわせて、学会『ニューズレター』に掲載します。
(5)対象者なしの場合の対応
応募者がいない報告テーマが出た場合および選考委員会の審査を経て該当なしという結果が出た場合、秋季大会企画委員会は、幹事会の了解を得て、報告テーマにふさわしい研究実績を有する会員に報告を依頼します。
4.フルペーパーの提出と学会誌への執筆
(1) 共通論題報告者は、報告に際して、事前に秋季大会企画委員会から依頼のあるフルペーパーを提出していただくことになります。
(2) 共通論題報告者は、大会終了後、秋季大会企画委員会から依頼のある報告内容に即した論文を社会政策学会誌に執筆することになっております。なお、論文掲載は秋季大会企画委員会による査読を経ることを条件とします。
5.事前打ち合わせ会への参加
共通論題報告者は、事前に数回開催される報告者打ち合わせ会に参加する必要があります。その際の旅費負担は学会旅費規程の定めるところによります。
問い合わせ先:秋季大会企画委員長 小笠原浩一
〒981-8522 東北福祉大学感性福祉研究所
電話・Fax:022−301-1172 (DI)
以 上
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